「肩の調子があまり良くない」という患者に見られる共通点
                         一般的な肩の脱臼(肩関節脱臼)を放置していたら、いつまでも強い痛みが続き、ときに神経麻痺を起こします。それゆえに、脱臼を整復しなければなりません。
 一方、肩鎖関節の脱臼は、脱臼を起こした直後は痛いものの、次第に痛みは引き、腕も一見、普通に動かせるようになります。そのため、医師も患者も放置しがち。しかし、それは決して勧められるものではありません。
 肩の調子があまり良くないという患者さんを診ると、肩鎖関節脱臼を起こしていた、というケースは珍しくありません。脱臼を起こした時からずいぶん時間が経っているので、患者さんはそのことを忘れているのですが、指摘すると「そういえば、以前……」となります。
 そんな患者さんの共通点として「肩の痛みはそれほど強くない」「しかし頚部から肩にかけて突っ張るような感覚がある」「力が入りにくく、物を上に持ち上げる動作がしづらい」などがあります。一方で、肩の可動域は正常かほぼ正常です。
 私は2017年、JBJS Open Accessという雑誌に肩鎖関節脱臼の10年以上にわたる経過観察の結果を報告しました。それによると、術後も鎖骨がやや脱臼している症例では、痛みが完全に消えずに残っているとのこと。長期経過の論文は、この研究を含めてわずかしかありません。
 では、なぜ肩鎖関節脱臼を、医師も放置したままにするのか。その背景を次回お伝えします。                    

 
                             
                                     
                                        



















 
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                     
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
         
         
         
         
         
         
         
         
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                