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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

糖尿病の薬を使っていると飲酒検査が陽性になる?

公開日: 更新日:

 仕事で車を運転する人に対するアルコール検知器による検査が、2023年12月から義務化されました。ある要件を満たしたドライバーは、定期的に検知器によるアルコールチェックを受けることになったのです。

 飲酒運転を撲滅するためには必要な対策だと思います。ただ、アルコール検知器には簡易的なものも多く、お酒を飲んでいなくても陽性になる事例も報告されているので注意が必要です。中でも最近、医療者に注目されているのが、ある糖尿病治療薬の影響です。「SGLT2阻害剤」という尿にブドウ糖を多く出すことによって、糖尿病を改善させる作用を持つ薬です。

 今年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという一流の医学誌に掲載された事例では、アメリカで尿のアルコール検査を受けた男性が、まったくお酒を飲んでいないのに、アルコールが陽性と判定されたと報告されています。どうやら尿の糖分が微生物と反応して、アルコールが産生されたようなのです。

 これはアメリカの尿検査でのケースで、日本では専ら呼気検査が行われています。しかし日本での症例報告でも、同じタイプの糖尿病治療薬を使用しているタクシー運転手が、お酒を飲んでいないのに検知器による呼気検査で陽性となった事例が発表されています。

 飲んでいる薬によっては、アルコール検知器の検査が間違えるケースもあるので、特に糖尿病の患者さんでは注意が必要であるようです。

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