著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

今くるよさん他界…膵臓がんと糖尿病 血糖値異常に要注意

公開日: 更新日:

 お笑い芸人・今くるよさんの命を奪ったのは、膵臓がんでした。享年76。相方のいくよさんが9年前に亡くなると、1人で活動していた時期もあったようですが、最後の舞台は2年前の大阪公演だそうです。詳しい病状は分かりませんが、舞台を休んで闘病されていたのでしょうか。

 膵臓がんの5年生存率は全症例で1割ほど。ステージ1でも5割を下回っています。がんの中でも特に厄介ですが、このところ増加傾向です。1年間の死亡数は3万8000人あまりと30年で8倍以上。統計上、性別ではやや男性に、年代では60代に多い傾向があります。

 消化液の膵液を分泌する膵管には筋層がないため腫瘍ができると広がりやすく、また位置的に膵臓は胃や十二指腸と重なるためエコー検査では観察しにくい。さらに初期は症状がほとんど見られず、進行して見つかることが多いのが難治がんの理由のひとつでしょう。

 そんな厄介ながんが急増しているのは、糖尿病との関係が指摘されています。糖尿病の患者数は予備群を含めて2000万人。2007年からやや減っているとはいえ、1997年の1370万人と比べると高止まりの状況です。生活習慣の影響で発症する2型糖尿病は、血糖値を下げるインスリンの分泌不良や効き目が悪くなるインスリン抵抗性が主な原因。インスリンにはがん細胞の増殖を促す作用もあり、後者によって血中のインスリン濃度が高まると、発がんリスクが高まると考えられています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    長嶋一茂は“バカ息子落書き騒動”を自虐ネタに解禁も…江角マキコはいま何を? 第一線復帰は?

  2. 2

    巨人vs阪神またもドラフト場外戦勃発!1巡目指名8年で5回モロかぶり…中日とヤクルトも参戦か

  3. 3

    叱責、鉄拳、罰金…試練の日々で星野監督よりも「怖かった人」

  4. 4

    高市早苗氏は総裁選“決選投票”にも残らない? 完全裏目の「鹿スピーチ」でまさかの大失速

  5. 5

    崖っぷち渋野日向子に「日本人キャディーと縁を切れ」の声…外国人起用にこれだけのメリット

  1. 6

    「時代に挑んだ男」加納典明(46)“吉永小百合論”、「偏見に満ちているかもしれない。でも、それでいい」

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  3. 8

    「サナエノミクス」が苦しい家計に追い打ち! 物価高ガン無視で“利上げ牽制→インフレ加速”のトンチンカン

  4. 9

    巨人・岡本和真がビビる「やっぱりあと1年待ってくれ」…最終盤に調子を上げてきたワケ

  5. 10

    新庄監督の去就は“白紙”と強調…日本ハム井川伸久オーナー意味深発言の真意