著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大腸がん検診ガイドライン改訂…「2年間隔」と「1回」が認められたが早合点は禁物

公開日: 更新日:

 つまり、1回と2年間隔を積極的に推奨しているわけではありません。これまで通り毎年2回の検便でチェックするのがよいと思います。

 私の知人の会社はこれまで1回法のがん検診が行われていました。その方は今春、2回法で陽性となり、内視鏡検査の結果、進行した大腸がんが見つかりました。その方は健康関連の施策をチェックする要職にあったこともあり、自らの体験を機にその後、会社としてのがん検診を2回法に変更しています。

 また、私の義妹は43歳でステージ4の大腸がんが見つかり、その後、亡くなりました。ここまで進行したのは、検便を受けていなかったためで、もし毎年2回法で受けていれば1~2年早く、早期で見つかっていた可能性はあるでしょう。

 日本人の場合、大腸がんは若年発症のケースが少なくありません。今回の改訂では、「45歳以上あるいは50歳以上でも許容する」としていますが、この点についても従来通りの40歳以上が無難です。

 最後に74歳で検診を終了することについては、年齢的な検査の負担の重さや合併症などが考慮されていますが、身体機能が保たれている高齢者はそうではなく、その年齢を過ぎても受診機会が提供されるべきとしています。

 ぜひ読者の方は、早合点せず毎年2回きちんと検便を提出して、大腸がんの早期発見に努めてください。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因