著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

大腸がん検診ガイドライン改訂…「2年間隔」と「1回」が認められたが早合点は禁物

公開日: 更新日:

 大腸がん検診ガイドラインが19年ぶりに改訂されました。大腸がん検診は現在、40歳以上を対象に毎年、便潜血検査(検便)を2回行うことが基本です。改訂では、検診間隔と採便回数について2年間隔と1回も認められる、としています。もうひとつ、検診の終了年齢は74歳が妥当であることも明記されました。

 そんなアナウンスがなされると、検診嫌いな方は「2年ごとに1回の検便でいいのか」と早合点するかもしれません。しかし、その考え方はよくありません。

 改訂で1回の検便を許容したのは、検査精度が向上していることが要因のひとつです。大腸がんを見つける感度(大腸がん患者が検査で陽性となる確率)は84%で、特異度(大腸がんでない人が陰性となる確率)は92%。前回改訂で根拠となった日本の感度は5割程度でしたから、数値は大幅に改善。国外でも3割から9割近くに上昇しています。

 この検査精度の向上に加えて、1回法と2回法を比較すると、どちらも同程度の感度と特異度であることが分かったことから、ガイドラインでは「1回法でも2回法でも可能である」と表現しています。検査間隔についても同様です。1年間隔、2年間隔などで大腸がんや前がん病変の発見率に有意差がなく、「検診間隔を1年から2年にすることも可能である」と表記しています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  3. 3

    上野樹里“ガン無視動画”にネット騒然! 夫・和田唱との笑顔ツーショットの裏のリアルな夫婦仲

  4. 4

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  5. 5

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  1. 6

    松本潤&井上真央の"ワイプ共演"が話題…結婚説と破局説が20年燻り続けた背景と後輩カップルたち

  2. 7

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  3. 8

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  4. 9

    松本潤「19番目のカルテ」の評価で浮き彫りに…「嵐」解散後のビミョーすぎる立ち位置

  5. 10

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ