(7)父の過剰な反応に驚き、うんざりした

公開日: 更新日:

 A救急病院から実家に帰宅後、ようやく父と話す時間を持てた。母はしばらく入院すること、その間、ひとりで生活してほしいこと、そして4匹の猫の世話をちゃんとすることをお願いした。

 混乱しているだけなのか、父もこのとき既に認知に問題が生じていたのかはわからないが、「お母さんも僕も入院なんてしたくなかったのに、どうしてこんなことに!」「帰ってきてお母さんに下着を届けてくれなんて僕は言っていない、あなたが勝手に帰ってきて勝手なことをしている!」と過剰な反応をされ、驚き、うんざりした。

 ただ、20年以上前に口腔がんで下顎をすべて取り去る手術をしていた父は、通常の食事が取れないため流動食をすべて自身で作る習慣がついていたのは幸いだった。ひとりになって食事ができないという心配はないだろう。私は夜のフライトで東京に帰るために、近くのバス停まで車で送ってもらった。これが父と会う最後の日となることを、そのときの私はまだ知らなかった。 (つづく)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」