著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「言葉」を増やすことは自分の可能性を増やすことになる

公開日: 更新日:

 先の研究に照らし合わせると、まさにこうした語彙力の豊富さが感情表現につながるだけでなく、相手に気持ちをより伝えられるツールになるというわけです。

 それを証明する実験が、2017年に沖縄県うるま市で実施されています。中学生を対象に、生徒が自ら「ことばノート」を作成し、それを表現活動に活用することで、言語感覚、学びに向かう力などにどのような変化が生じるのかを調べました。実験は、まず芥川龍之介の「蜜柑」を読んでもらい、「印象に残ったもの・気になる表現を引用する」「ことばノートのことばを使う」ことを示した上で、初発の感想をまとめてもらいました。

 生徒たちは、おのおのに「不思議」「悲しい」「やさしい」といった表現を書き出し、その後、グループで考え、「不思議→変、奇妙」「かわいそう→悲惨」という具合に、そのほかの表現を導き出すようにディスカッションしました。

 そして、同様の条件で芥川の「トロッコ」の感想をまとめたところ、初回の「蜜柑」では、ことばノートを活用してまとめることができた生徒が全体の約31%であったのに対し、2回目の「トロッコ」では、約45%にまで増加したといいます。言葉を知ること、語彙を増やすことは、確実に自分の表現や感受性を豊かにしてくれるというわけです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも