(1)「娘さんが責任を持つなら手術しましょう。ただ…」

公開日: 更新日:

 孝一さんは60代で離婚し、気ままな独居生活を続けていたが、2年前の75歳のときに「認知症1」の診断を受けた。ひとり娘の裕子さん夫婦とは別世帯である。

 裕子さんが孝一さんの認知症を自覚したきっかけは、たわいのない日常会話だったという。

「学校の教師を務め記憶力も聡明だった父が、2年前あたりから、同じ話を何度も繰り返すようになりました。ボケ症状が急速に進んだことに不安を覚え、病院で診察を受けたところ『認知症1』と診断されたのです」

 やがて孝一さんは、裕子さんに何度も「夜歩いていると対向車のライトが異常にまぶしい。新聞の記事もかすれて見えて、読みにくい」と訴え、白内障手術を希望した。

 手術をする眼科専門クリニックは、近所に住む孝一さんの友人が紹介してくれた。

 院長は術前検査を行い、手術日の日時を指定すると、裕子さんにこうつぶやいたという。

「娘さんが責任を持つならやりましょう。でも本当はね、白内障手術は認知症にかかる前にやって欲しかった。認知症の人には、術後の点眼薬の使用が難しいのです」 =つづく

【連載】認知症患者の白内障手術体験記

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」