著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

副作用の「味覚障害」は抗がん剤より放射線の方が深刻

公開日: 更新日:

 イタリア料理店「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」のオーナーシェフ・落合務さん(77)が悪性リンパ腫の治療で抗がん剤を使用したところ、味覚障害に苦しみ、「病院食ではしょうゆの味が分からない」と語り、話題を呼んでいます。

 2021年3月ごろ疲労感がひどく、病院を受診すると、ステージ4の悪性リンパ腫が発覚。抗がん剤治療で11月には寛解。退院して自炊すると、家族に「しょっぱくて食べられない」と指摘されたといいます。味覚障害で塩味が鈍くなったようです。昨年6月に再発し、2度目の抗がん剤治療を受けると、再び味覚障害に苦しんだといいます。

 どんながんでも抗がん剤や放射線治療の影響で味覚障害になる可能性があります。抗がん剤では治療が始まって数日から数週間以内、放射線では治療が進むにつれて少しずつ発生。抗がん剤では苦みや金属の味が強くなる一方、甘みや塩味が鈍化し、放射線では味の感受性が低下するため無味に感じることが多いといわれます。

 落合さんが回復されたように味覚障害は、抗がん剤では治療を終えると数週間から数カ月で改善しますが、放射線では治療後も年単位で残ることが珍しくありません。味覚障害は、放射線治療の方が深刻で、その影響で飲食店を廃業された方を数多く見てきました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発