著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

副作用の「味覚障害」は抗がん剤より放射線の方が深刻

公開日: 更新日:

 特に厄介なのが、口やのどなど頭頚部のがんです。味の受容器官である味蕾や唾液を分泌する唾液腺などが放射線を受けると、味覚と唾液の分泌が悪化します。たとえば中咽頭がんを化学放射線治療で克服されたお笑いタレントのワッキーさん(52)は、治療から4年が過ぎた昨年の読売新聞で味覚が戻らず、唾液は普通の人の3分の1程度に減少したと語っています。

 舞台では水を飲まずに10分もつか不安で、途中で水を飲むスタイルを取り入れたとのこと。相方と工夫していることがうかがえます。味の分かりにくさや変化については調理や味つけの工夫がとても大切です。

 ただし、頭頚部がんで化学放射線治療を受けるとしても、治療を受けた人すべてに同じように味覚障害が現れるわけではありません。味蕾や唾液腺への影響をなるべく少なくするように放射線を照射すれば、味覚障害のリスクを減らすことができますから、頭頚部がんの放射線治療は強度変調放射線治療(IMRT)に優れた実績を上げる病院で受けることが重要なのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  2. 7

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  3. 8

    清原果耶は“格上げ女優”の本領発揮ならず…「初恋DOGs」で浮き彫りになったミスキャスト

  4. 9

    選管議論で総裁選前倒しでも「石破おろし」ならず? 自民党内に漂い始めた“厭戦ムード”の謎解き

  5. 10

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます