著者のコラム一覧
粂和彦名古屋市立大教授

東大医学部卒。分子生物学者・医師(日本睡眠学会指導医)

(3)高齢者は眠くなるまで布団に入らない方がいい

公開日: 更新日:

 平均寿命と健康寿命ではトップクラスの日本ですが、睡眠時間ではOECD33カ国の中で最下位(7時間22分)です。健康長寿を目指すには、睡眠の改善が欠かせません。

 私たちが2018年に発表した睡眠計を用いた睡眠の疫学研究によると、日本人の睡眠パターンは世代によって異なります。若い人は夜型、睡眠不足で寝つきが悪く(入眠困難)、朝起きられない(起床困難)、日中に眠気があり、また、週末に特に夜型が強まる特徴があります。

 壮年期の働き盛り世代は、忙しくて睡眠時間が足りず、ストレスが多く、入眠困難、夜中に目が覚める中途覚醒の傾向がみられます。

 高齢者の場合は、若者や働き盛り世代とは違い、就床時間(寝床に入っている時間)が長いという特徴があります。夜早く床に入るため中途覚醒し、朝早く目覚めて(早朝覚醒)しまいます。ただし、就床時間が長くとも、睡眠時間が長いわけではありません。

 年齢を重ねるにつれ睡眠時間は短くなるのが普通です。高齢になると若い頃のように7、8時間連続して眠れるわけではなく、時間が短くなるのは自然なことです。しかし、多くの高齢者は睡眠時間が足りないと思いこんでいるのです。平均寿命を超えた80代の方から「睡眠時間が短くて寿命が心配だ」と相談されることがありますが、睡眠時間の長さにこだわる必要はありません。105歳で亡くなられた日野原重明聖路加国際病院名誉院長は睡眠時間が4~6時間のショートスリーパーとして知られていました。適切な睡眠時間には個人差があるのです。

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