(4)高齢者のサギングアイ症候群…手術で治り、人相が良くなるケースも
「この症候群はゆっくりと進行し、高齢になるほど増加します。しかし、気づきにくいため潜在患者さんが多いと思われます。診断の助けとなるのが、患者さんの顔貌です。サギング・ライク・フェース(Sagging like Face)と呼ばれている特有の顔つきで、上まぶたのくぼみ、眼瞼下垂(上まぶたが下がって見えにくくなる)、下まぶたのゆるみなどが特徴です。高齢者に多い顔つきですが、それだけ多い可能性があります」(後関教授)
治療は手術とプリズム眼鏡(屈折を調整する眼鏡)があります。どちらを選択するかは斜視の状態によりますが、60%は手術となります。
「手術は患者さんの状態によって術式を選択して行います。従来は手術ができなかったものでも『段階的垂直直筋切腱術(GVRT)』という術式で可能になりました。私がこれまで行った手術では全例に効果があり、複視が治りました。ただ、13.4%は再手術となりました。患者さんに合わせた治療法を選択することが重要です」(後関教授)
後関教授の臨床経験では、96歳の男性が手術で複視が治り、人生が楽しくなったと喜ばれたことがあったそうです。