突然の胸痛、「ただの筋肉痛?」56歳男性を襲った心臓発作の見逃せないサイン
しかし仕事中も肩の違和感は続き、だんだん息切れを起こし動けなくなってしまいました。同僚が救急車を呼び病院ですぐに心電図検査を行ったところ、心筋梗塞の診断ですぐに緊急処置が行われることになりました。
このケースからわかるように、実は心筋梗塞で出る症状は胸の痛みだけではありません。「放散痛(ほうさんつう)」と呼ばれる症状で、左肩、背中、あるいは歯や耳まで痛みが放散することがあります。このような症状が左胸の痛みとともに起きた場合は、すぐに救急車を呼びましょう。心臓発作が疑われる症状が起きた場合は、残念ながら自分で対処できることはありません。心臓発作の治療は時間との勝負です。心臓の血管が詰まっている状態なので放っておくと心臓が壊死(えし)してしまい、できる治療もできなくなってしまう場合があります。
■発症から6時間以内の「ゴールデンタイム」に病院へ
特に「ゴールデンタイム」と呼ばれる、発症から6時間以内に心臓の血流を再開させることが、ダメージを最小限に抑えるために重要なので、明らかにこれまで感じたことのない痛みであればすぐに救急車を呼んで欲しいですし、少なくとも30分以上胸の痛みが引かなければ受診しましょう。痛みの症状は締め付けられるような、奥から詰まるような激しい痛みのことが多いですが、他にも、押したり体を捻ったりして「痛みが強くならない」場合は、筋肉や骨ではなく心臓の痛みの可能性がやや高まります。