女房の顔が見えたときはホッとした…木之元亮さん前立腺がん手術を振り返る

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1年半後に「再発」を告げられた

 術後の経過が良かったので4日目には退院となりました。でも、これで終わりではなかったのです。じつは経過観察の中でPSAの数値がほんの少しずつ上がってきたのです。本当に微増なので先生も、これをどう判断するか難しかったようですが、23年の年末、ついに「再発と判断します」と告げられ、放射線治療を受けることになりました。前立腺がんは進行が遅いし、症状もないし、心配はないけれど、“飛ぶ”ことがあるので怖いのです。

 翌年1月から、男性ホルモンをカットする薬と骨粗しょう症の予防薬を飲み始めました。前立腺がんのエサは男性ホルモンなので、がんにエサを与えず弱らせたところでドーンと放射線を当ててやっつけるのです。

 放射線治療は週に5日、7週間で全35回。2月から4月までかかりました。月~金で通院するのはしんどいですよ。前日から消化のいいものを食べて、朝は軽い下剤を飲んで便も尿もキレイに出してから、放射線治療の30分前から500ミリリットルの水を飲むのです。周りの臓器に放射線の影響を与えないための水なので、膀胱にしっかりたまっていないと先生からダメ出しが出ます。「酒なら飲めるけど、水なんて飲めないよ」なんてグチを言うおじいちゃんがいっぱいいました(笑)。

 自分はまじめにそれを35回やり続けました。もちろん、その間はお酒も断ち、女房には「お父さんよく頑張ったね」と褒められました。

 放射線治療中の3月にPSAを調べると、数値はすでに0になっていました。放射線が終了した4月も0。5月も0。そこから半年後も0で、つい先月の結果も0でした。ちゃんと先生の言うことを聞いて、治療に取り組んだ結果だと思います。

 男性ホルモンカットの薬は半年間ほど飲み続けましたが、副作用は特に感じませんでした。毛が薄くなることもなかったな。ただ、これは副作用かわからないけれど、急に太りました。そして男性ホルモンカットの薬をやめたら、何もしなくても戻りました。

 じつは肝臓の数値も正常値をはるかに超えていて危なかったのですが、1月から7月まで一切お酒を飲まなかったので数値がすごくよくなって、肝臓も元気になりました。

 毎日アルコールを欠かさず飲んでいた人間が、今は3~4日に1回。そのほかの日はノンアルコールビールです。「信じられない」とみんなに言われますが、無理をしている感覚はありません。

 健康のために散歩したり、運動するのも大事だけれど、やっぱり外に出ていろんな人と関わること、孤立しないことが大事。自分もがんと言われて怖かったですけど、通っているスポーツジムに人生の先輩がたくさんいて、がん経験者からいろいろ聞いて気持ちが落ち着きました。病気になると家にこもりがちになるけれど、表に出て人と話すのがいいと思います。

 あと、積極的に若い人の中に入っていくことが元気の秘訣。ここまで年をとると若い人たちが気を使ってくれます。それを素直に受け入れれば、楽しいし面白いですよ。横柄になったり斜に構えて年寄り風を吹かせないことが肝心ですけどね。

(聞き手=松永詠美子)

▽木之元亮(きのもと・りょう)1951年、北海道出身。漁師やサラリーマンを経て上京。77年に刑事ドラマ「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)の5代目新人刑事・ロッキー役で俳優デビューし、5年2カ月にわたり出演した。NHK大河ドラマ「真田丸」や「ウルトラマンダイナ」(TBS系)のヒビキ隊長など、数々のドラマや映画、舞台で活躍。旅番組のリポーターなどもこなす。

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