「洞不全症候群」はペースメーカー治療で劇的な回復が期待できる
また、洞不全症候群の特徴として、脈が極端に遅くなるタイプのほかに、「徐脈頻脈症候群」が現れるケースがあります。徐脈(脈が遅くなる)と頻脈(脈が速くなる)を交互に繰り返したり、頻脈から徐脈に切り替わる際に一時的に心臓が停止してしまう場合もある病態です。
一般的に、1分間に150回以上の頻脈になると、心臓の負担が増大して心機能が低下し、心不全につながります。さらに、同じく110回以上くらいだった脈拍数が、突然中断される「オーバードライブサプレッション」という現象が生じるケースもあります。心臓が自ら動く力よりも速いペースメーカーで動かされると、急ブレーキをかけたように自己心拍の機能が一時的に抑制されるのです。
このオーバードライブサプレッションは、洞結節が一時的に電気信号の発生を停止する洞停止という状態を引き起こします。洞停止は、脳への血流を低下させたり心不全を招くなどして突然死につながる場合もあります。また、洞不全症候群によるオーバードライブサプレッションが続くと、洞機能が低下して心房細動を起こしやすくなり、心房細動がさらに洞機能の低下を招くという悪循環に陥ります。


















