(50)胃ろうを考える時期が来た…老人ホームに入居してから1年

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 いくつか候補の施設を挙げてもらったものの、すぐに空きがあるとは限らない。なにより、ようやく施設での生活に慣れて落ち着き始めていた母にとって、新しい環境で再びなじむまでの時間は、もはや残されていないかもしれなかった。

 スマートスピーカーで母と意思疎通ができそうな日を見計らって、食事が取れないなら鼻から管を入れることになるけれど、施設も変えなければならなくなるよ、と伝えてみた。母は考えた末「挑戦してもいい」と答えた。しかし調べると、鼻からのチューブは入れっぱなしで鼻腔や咽頭への負担が大きく、誤嚥や感染、褥瘡などのリスクが大きいという。また、短期の使用が前提であり、一定の期間を過ぎたらより安全性の高い胃ろうに移行することになる。

 悩む私にケアマネジャーから提案されたのが、「言語聴覚士による嚥下訓練」だった。のみ込む力を鍛えるリハビリで、言葉を取り戻す訓練でもある。効果があるかどうかはわからないが、試してみる価値があるのではないかという。

 私は、母の持てる力の回復にかけることにした。そしてまもなく週に1回の言語聴覚士の介入が始まることになった。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

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