著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

川島道行さんは闘病19年 脳腫瘍グレード2で5年生存率は7割

公開日: 更新日:

 音楽ファンにとってはつらい報道でした。ロックユニット「BOOM BOOM SATELLITES」のボーカル・川島道行さんが19年の闘病生活の末、脳腫瘍で亡くなりました。47歳でした。今年6月に発売されたEP(シングル盤)は、重い麻痺の体を押してレコーディングを重ね、1年がかりで仕上げたそうです。脳腫瘍は、頭蓋骨に包まれた部分にできる腫瘍の総称。脳そのものの腫瘍と、脳を包む硬膜や血管、脳下垂体、脳神経など脳以外の腫瘍に分けられます。良性と悪性の比率は2対1。

 ほかの臓器なら、良性の場合、摘出せずに済むこともありますが、脳腫瘍は良性も悪性も脳を圧迫するため、手術で摘出するのが第一です。川島さんは1997年に初期の脳腫瘍が見つかり、12年12月に脳腫瘍を公表したときは、3度目の再発だったそうです。

 診断はCTやMRIなどの画像検査である程度できますが、摘出手術の前に組織の一部を採取してすぐ顕微鏡で観察。良性か悪性か調べてから、速やかに腫瘍摘出手術を行うのが一般的です。

 悪性度は4段階で、グレード2までは比較的進行が遅く、良性の範疇に入り、手術で全摘できれば治療は終了。グレード2は20~40代に多く、5年生存率は7割ほど。決して治療成績は悪くありません。

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