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芳醇な樽酒を飲むまでの、長く遠い道のりよ

■岩手屋(湯島)

「あの時はもう二度と、こいつを出せないんじゃないかって……、そう思いましてね」
 湯島は天神下交差点を上野方面へ歩き、ふたつ目の路地を右へ曲がったところにある店のカウンターの奥。店主の内村嘉男さんが「酔仙 本醸造」と書かれた4斗樽のカランを回し、酒を徳利へとつぎながら、しみじみとつぶやいた。

 あの時とは、震災のことである。東北の沿岸部には、銘酒の酒蔵がいくつもあり、全国の飲んべえを喜ばせていたのだけれども、大地震と津波によって壊滅的な損害を被った。岩手の銘酒、酔仙の酒蔵も陸前高田にあったため、もうどうすることもできなかったという。

 樽酒750円の徳利を傾け、杯に口をつけると、芳醇(ほうじゅん)な味と香りがして、ゆっくりと心地良い酔いが五臓六腑(ろっぷ)に広がっていく。実に2年8カ月ぶり。50年以上、樽酒にこだわってきた店に、ようやく“顔”が戻ってきたのである。注文ごとに供される小皿のアテ(無料)がまた、うれしい。

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