油性でもサラッ 年間売上1億本「ジェットストリーム」秘話
三菱鉛筆の油性ボールペン「ジェットストリーム」は“クセになる、なめらかな書き味”をキャッチコピーに、2006年の発売以来、快進撃を続けるヒット商品だ。現在、シリーズ全体で年間約1億本(海外含む)を売り上げている。
始まりは1999年。今や三菱鉛筆の看板商品に成長したジェットストリームだが、開発は意外にも地味なスタートだった。開発者は当時、他部門から異動してきたばかり。
「何をしてもいい、思うようにやれという雰囲気の中、じゃあと考えたのが、さらっとなめらかに書ける油性ボールペンだった」(横浜研究開発センター課長の市川秀寿氏)
■品揃えは国内だけで120品超
油性ボールペンは一般に広く使われているが、書き味が重く、濃い色が出にくいことから敬遠する人も少なくない。開発者自身もそのひとりで、ふだんは水性ボールペンを愛用していた。となれば、いかに水性の書き味に近づけるか。カギはインクの粘度だった。筆記抵抗を下げるため、低粘度を目指したい。加えて濃さ、速乾性も重要だ。そこで染料の溶剤をすべて変えることにした。