シニア人材市場で注目 「スポットコンサル」の仕事と稼ぎ
継続雇用でもない、独立開業でもない、シニアの新しい働き方が注目されている。特定の客(企業)が必要とする経験や知識を持った人間が、客が必要な時だけ限定的に相談に乗ったり、実務を手伝う「スポットコンサルティング」だ。
たとえば、アセアン地域に出店を狙う日本の飲食店A社が、現地向けの商品開発と販売ルートの手助けを必要としているとする。そのA社に、現地での経験豊富な人材を、週2日とか、月に4日などスポットで送り込むシステムのことだ。マネジメント全般、経理だけ定期的に見てもらいたい企業もある。
「新卒の社員を海外担当にして給料を払うより、格安の投資で効率的に労力を注げる」(あるベンチャー企業担当者)ため、海外進出を狙う飲食やアパレル業界から引き合いが増えているという。
その橋渡し役を務める企業のひとつで、海外ビジネスのプロたち2400人が登録する「サイエスト㈱」の広報担当者・本谷亜紀氏が言う。
「登録者の7割は、海外勤務や海外の取引経験が豊富な60歳以上のシニアです。それぞれが、現役時代の知識や経験、さらには人脈を生かして顧客にアドバイスをします。現地法人のトップだった方も多い。大半は収入のためというより、月に何回かでいいのなら貢献したい考えの方々。顧客サイドからは、『一緒に営業に回ってくれたりするため、コンサルをやめてもノウハウや人脈が着実に会社に蓄積される』と好評です」