ジワジワ消費額増える納豆 業界が手放しで喜べない理由
納豆は、生まれた地域で好き嫌いがはっきりと分かれる食べ物だ。日ごろから食べる習慣がない関西に育った人たちからすれば、なぜ毎日のように喜んで食べるのか疑問。独特のにおいや食感が耐えられない人は少なくない。もっとも、ほとんどの関西人が食習慣を変えなくとも、納豆の売り上げは、じわじわと拡大中だ。全国納豆協同組合連合会によると、17年の納豆の消費額は2313億円となり、過去最高だった前年を129億円も上回った。普通だったら業界は大盛り上がりになるところだが……。
「納豆は不況になると売れる食品です。それが売れているというのは、日本経済が底を這っているということ。実は素直には喜べないのです」(同連合会の担当者)
今年1月に日本政策金融公庫が実施した「消費者動向調査」を見ても、家計の苦しさは浮き彫りだ。現在の食の志向は「健康志向」「経済性志向」「簡便化志向」が3大志向と分析しているが、なかでも目立つのが経済性志向(35.1%)の増加で、前回調査(昨年7月)よりも2.3ポイントも上昇した。さらに簡便化志向(31.7%)を選んだ人は過去最高を記録している。健康に良い上に、安くて手軽に食べられるのが一番というわけだ。この3つは「安全志向」「手作り志向」「国産志向」「美食志向」を大きく引き離している。