懐古主義ではなかった レコード人気すそ野拡大の原因
CDすらネット配信に押されて売れなくなっているといわれる時代に、最も原始的なレコードの売り上げが伸びている。日本レコード協会の「日本のレコード産業2018」によると、17年のレコード生産量は前年比で133%となった。この傾向は昨年に限ったことではない。前年比の生産量をさかのぼると、16年は121%、15年は165%と着実に拡大してきている。
これは日本特有の現象ではない。データ調査会社ニールセンによると、米国でのレコードセールスは12年連続で増加している。英国でも、16年のレコードの売り上げは過去25年で最高になったとされる(英国レコード産業協会調べ)。
さては一部のオールドファンが、穏やかな風合いの音を求めて購入しているのかと思いきや、ちょっと事情が違うようだ。
同協会の広報担当者は「アナログの音質を好む従来のオーディオ好きの方が購入しているだけではなく、新しいファン層も生まれています」と強調する。レコード盤を見たことも触ったこともなかったような若年層が、新しいメディアとしてレコードの存在を知り、すそ野が広がったという。単なる懐古主義ではないようだ。