塩田武士さん<2>「それで紙面埋まるんか」と電話切られ…

公開日: 更新日:

 初任地の阪神総局で、最初の2年間は警察回りを担当した。尼崎市の警察署4署(現3署)を2年生の記者(キャップ)と2人で分担して回る。

「“しんどい”とは聞いていましたけど、1日目から絶望しました。『今日、何時に帰れますか?』と聞いたら、先輩は『1時ちゃう?』と言うんで、『映画でも見にいこうかな』と思っていたんです。でも、ずっと帰してくれなくて……。夜中の1時のことだと気付いたとき、毎日これが続くんだと思うと気が遠くなりました。しかも『この2署はおまえに任せるから、抜かれたら全部責任取れよ』と突き放されて……」

 署の記者クラブには毎朝8時に入る。起床後すぐ“ケイデン(警戒電話)”を入れるのも日課だった。

「尼崎だけでなく、他の先輩たちの管轄も含めて、阪神間にある十数署に順番に電話をかけていき、前夜から事件・事故がなかったかを聞いていくわけです。もし何かあったらすぐに現場に飛びます。何もなかったら署で待機。夕刊のためのケイデンをして、午後2時までに出稿連絡をするのがルーティン。ただ、神戸新聞は地方紙だから、地方版がいっぱい空いているんですよ。それで、めっちゃくちゃ怖いサブデスクに電話して、街ネタで何を出すか報告しないといけない。『何もありません』と伝えれば、沈黙で何も言ってくれないんですよ。『すみません、すみません』と謝っていると、最後に『おまえ、それで紙面埋まるんか』と言われて、『埋まりません……』と話している途中でガチャッて切られる。だから毎日、市役所の広報に顔を出し、“上坂部西公園で花が咲いた”といった細かい情報まで全部メモして、『とりあえず、公園行かなきゃ』みたいな日々を送ってましたね」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のライフ記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    パンデミックが起きても慌てない 今から始める備蓄リスト

  2. 2

    再雇用中の64歳 大病などがなかったのに退職金が漸減した

  3. 3

    青木理氏「無知」と「無恥」に蝕まれる憲政史上最愚の政権

  4. 4

    中居正広「気持ち尊重」発言の意味…退所の真相はリストラ

  5. 5

    住宅ローン完済で悠々自適の第二の人生が始まるはずが…

  6. 6

    丸投げの安倍政権 新型コロナ基本方針は“国は何もしない”

  7. 7

    中居正広を支える華麗なる人脈 “ぼっち独立”も明るい未来

  8. 8

    新型ウイルス対策 「東京は封鎖できるか」内閣官房に聞く

  9. 9

    作家・中村文則氏 国民の命にまで…安倍政権はもう限界だ

  10. 10

    デンマークなぜキャッシュレス大国に 在日大使館に聞いた

もっと見る

編集部オススメ

  1. {{ $index+1 }}

    {{ pickup.Article.title_short }}

もっと見る