牧野伊三夫
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牧野伊三夫画家

1964年生まれ。画家。美術同人誌「四月と十月」同人。著書に「かぼちゃを塩で煮る」(幻冬舎)、「僕は、太陽をのむ」(港の人)ほか。北九州市情報誌「雲のうえ」、飛騨産業広報誌「飛騨」編集委員。

“怪獣ツメラー”の活躍で日を浴びられた「黒い土たち」

公開日: 更新日:

 バリバリバリ、どしーん。隣家の解体工事がはじまった。ものすごい音がして振動で家が揺れるので、あわてて戸棚の上の花瓶と熊の木彫りを下ろした。ほこりが舞わないように男がホースで現場に水をかけているが、そんなものでは間に合わない。窓を閉める。

 僕は個展の搬入日が迫って家のアトリエにこもっていたが、これでは絵を描けそうにない。少しでも集中しようと、音量を上げてエリック・サティのピアノ曲をかけてみたが、騒音で途切れてかえってイライラした。何か大災害の渦中にでもいるような気がしてくる。

 窓を開けてのぞくと、すでに隣家は2階が無残にむしり取られ、1階の台所の壁や床下収納があらわになっていた。描いていた絵よりも、こちらの方がずっと刺激的である。重機はキャタピラーでがれきを踏みつぶして家に迫り、大きな鉄のツメを口のようにパクッと開いて、玄関の屋根に噛みつき、首を左右に振る。まさに、怪獣だ。怪獣ツメラーが暴れている。

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