牧野伊三夫
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牧野伊三夫画家

1964年生まれ。画家。美術同人誌「四月と十月」同人。著書に「かぼちゃを塩で煮る」(幻冬舎)、「僕は、太陽をのむ」(港の人)ほか。北九州市情報誌「雲のうえ」、飛騨産業広報誌「飛騨」編集委員。

名古屋、甲府、国分寺…地元の酒飲みが集う「酒場の景色」

公開日: 更新日:

 名古屋に「角屋」という焼き鳥屋がある。夕方5時の開店の時刻には、地元の酒のみたちが次々とやってきて席を埋め、大きな暖簾をすりぬけて、焼き場から串を焼く煙が通りへたなびいている。U字形のカウンターの中では、女将さんがひとりで酒の燗をつけたりして忙しく立ち働く。この店の天井から、運動会のときに学校の先生が使うのと同じ拡声器が吊るしてある。お客から焼き鳥の注文があると、女将さんはそれをぐいっとつかんで、離れた焼き場に伝えるのである。

「きも1、ねぎま3、とん2」

 大音量に、初めは驚くが、酔うとだんだん慣れてくるのが不思議である。

 甲府の「どてやき」という酒場では、客の頭の上に、はがきより少し大きいくらいに切って束ねた新聞紙が、間隔をあけて吊るしてある。この店では、もつの串を煮たのを肴に酒を飲ませるのだが、お客はこの新聞紙で手についた煮汁をぬぐったり、コースターにしたりするのである。新聞紙の隣には、たばこ用のライターがパジャマ用の白いゴムに結ばれて吊り下がっていて、これもまたうれしい。午後3時に開店、大鍋いっぱいに煮た串が売り切れたら営業終了で、先日は5時すぎに閉店していた。

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