岡山市でジューシーな桃狩りと桃太郎伝説の足跡をたどる

公開日: 更新日:

 昨年、岡山県の岡山市、総社市など4市は「『桃太郎伝説』の生まれたまち」として、日本遺産に認定された。日本人なら誰もが知っている昔話のルーツをたどった。

  ◇  ◇  ◇

 桃太郎のモデルとされるのが、吉備津彦命だ。大和朝廷に仕えた古代皇族のひとりで、当時の中国地方で大きな勢力を持っていた渡来人の温羅を“退治”するために、吉備国に派遣されたのだと伝えられる。温羅は人の丈を超える鬼で、村人を襲い悪さをしていたという。この地では「吉備津彦命の温羅伝説」として伝わっているそうだ。

 温羅との戦いに勝ち、国を平定した吉備津彦命とその一族を祭っているのが「吉備津神社」(岡山市北区吉備津931)。日本遺産の構成文化財のひとつになっている。

「桃太郎と共に戦ったイヌ、サル、キジは、吉備津彦命にお供した豪族、犬飼部、猿飼部、鳥飼部の名前に由来するとされています」(権禰宜の平野喜隆さん)

 本殿は、「比翼入母屋造」で、全国唯一の造り。「吉備津造り」とも呼ばれる。

「本殿・拝殿ともに国宝に指定されています。いずれも室町時代の1425年に再建された建物で、それ以降は解体修理されていません。参拝者からは、『神社なのにお寺に来たようだ』と言われます。これは、東大寺再建に尽力した僧・重源が、大陸からもたらした建築技法『大仏様』を取り入れたから。この技法は全国的に広まらなかったので、非常に珍しいです」(前出の平野喜隆さん)

 本殿から南に全長360メートル続く回廊は県指定重要文化財だ。山の斜面をそのまま利用した坂道になっていて、本殿にお供えものを運ぶための道とされたそうだ。

 敷地内の御釜殿は、釜の下に温羅の首を埋めたと伝えられる。この釜で火をたくとボーッという音が鳴る。その音で願い事の吉凶を占う「鳴釜神事」も、事前予約で体験可能だ。

 一方、鬼の温羅一族が陣を構えていたという山城が「鬼ノ城」(総社市黒尾)。日本100名城のひとつにも選ばれている。

 7世紀後半、百済に援軍をおくっていた日本は663年の白村江の戦いで、唐・新羅の連合軍に大敗、日本まで攻め込まれた時の備えに造ったとの説が有力だ。

「温羅は、実は百済の王子。背丈が4メートル20センチの大男とされています。古代ですから天守閣はありませんが、角楼跡や城門跡などが見られます。城壁は2.8キロメートルの鉢巻き状にあって、高さ6メートル、幅7メートルと推定。石垣が1割、土塁が9割で造られています。ただし、文献が残っておらず、まだまだ解明途中。訪れたときは想像して歩いていただければ、それもまた味わいがありますよ」(吉備路ボランティア観光ガイド協会の根馬弘文さん)

 鬼ノ城の近くには、鬼が使っていたという釜もあり、いけにえをゆでたと伝わっている。

 四国の小豆島まで眺められる展望台に上る途中で敷石に注目すると、×印が付いているのが分かる。これは崩れて新しい石になった証拠で、何も付いていない石は1300年前からあるということらしい。古代に思いを馳せながら歩くのは面白い。ガイド付きの案内は1人から対応可。

(問)総社市鬼城山ビジターセンター(℡0866・99・8566)

 岡山では、8月中はジューシーで甘味の深い白桃が楽しめる。手軽に行けるのが桃茂実苑(赤磐市上市218―1)。JR岡山駅発着の桃刈りバスツアーが便利でお得。交通費、桃狩り体験(お土産は1個)と30分食べ放題(冷蔵)で3980円。提供される桃はその時の最高ランクの糖度で、軽く握っただけで果汁が滴り落ちるほどのやわらかさ。過去には二十数個平らげた人もいるそうだ。
℡086・225・1234(下電観光バス・要予約)

 県内では観光キャンペーン「おかやま果物時間」(11月30日まで)も開催中で、旬のフルーツを使ったメニューを展開している。

「TAVOLA TAPAS」(岡山市北区幸町5―14 ホワイトボックス1階)の「岡山県産白桃と生ハムの冷製カッペリーニ」(1566円)は、観光客や出張サラリーマンにも好評で、「トマトと桃の特製ソースでさっぱり仕上げています。ハムの塩気とも合います」(森山友斗シェフ)。

 正午から1杯を楽しめる「華伝座」(岡山市北区丸の内2―7―9 亀山ビル1階)も要チェックだ。「桃太郎 SAKE Punch!」(1000円=チャージ別途500円、1日10杯限定)は、地酒を使った日本酒パンチで、桃やピオーネなど地元フルーツを存分に味わえる。店主の野崎心也さんは「1杯1000~1200円で、好きなフルーツのオリジナルカクテルを作りますよ」と言う。

 酔いざましに「碧水園」(岡山市北区後楽園1―6)まで歩き、桃を模した「桃ボート」に乗れば、岡山城を絶景のロケーションで眺められる。気分は桃太郎だ。

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のライフ記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    佳子さまに“間違いないお相手”とのお忍び愛報道 眞子さんと「同じ選択」なら秋篠宮家どうなる

    佳子さまに“間違いないお相手”とのお忍び愛報道 眞子さんと「同じ選択」なら秋篠宮家どうなる

  2. 2
    ウクライナ兵の士気を高めるためにセクシー写真を! 心理学者の妙案が話題

    ウクライナ兵の士気を高めるためにセクシー写真を! 心理学者の妙案が話題

  3. 3
    盗難車数は昨年比2500%増! ゲーム感覚で韓国車を盗む「KIAチャレンジ」が米国で急増中

    盗難車数は昨年比2500%増! ゲーム感覚で韓国車を盗む「KIAチャレンジ」が米国で急増中

  4. 4
    小室圭さんは一度は「婚約辞退」を考えた 内定会見後のお食事会から“異変”が…

    小室圭さんは一度は「婚約辞退」を考えた 内定会見後のお食事会から“異変”が…

  5. 5
    吉永小百合「女性タレントCMギャラ1億円超」の圧倒的貫禄 77歳で堂々1位君臨の理由

    吉永小百合「女性タレントCMギャラ1億円超」の圧倒的貫禄 77歳で堂々1位君臨の理由

  1. 6
    田中聖の“ダメジャニ”人生は史上最悪…捜査逃れ繰り返しファン女性にカネを無心

    田中聖の“ダメジャニ”人生は史上最悪…捜査逃れ繰り返しファン女性にカネを無心

  2. 7
    出産で重い脳性まひに…救済求め障害ある我が子と会見に臨んだ母親たちの覚悟

    出産で重い脳性まひに…救済求め障害ある我が子と会見に臨んだ母親たちの覚悟

  3. 8
    島田陽子さん遺体いまだ火葬されず渋谷区が保管…このままでは“行き倒れ”と同扱いの可能性

    島田陽子さん遺体いまだ火葬されず渋谷区が保管…このままでは“行き倒れ”と同扱いの可能性

  4. 9
    小林麻耶の告白は99%真実 この目で見た妹・麻央さんの哀しき晩年と市川海老蔵の夜遊び

    小林麻耶の告白は99%真実 この目で見た妹・麻央さんの哀しき晩年と市川海老蔵の夜遊び

  5. 10
    “オミクロン対応”新ワクチンの疑問…未接種者や1回のみでは打てないのか?厚労省に聞いた

    “オミクロン対応”新ワクチンの疑問…未接種者や1回のみでは打てないのか?厚労省に聞いた