レンタルなんもしない人 森本祥司さん<3>人間関係が苦痛に
「配属先は希望する部署に決まってうれしかったです」
新入社員研修のグループワークをきっかけに、会社の方針に馴染めないかもしれないと思っていたが、配属先は希望通りに数学の通信教材を編集する部署だった。
「社員の能力開発を目的として、培ってきた知識や経験には直結しないジョブローテーション制度を取り入れている会社でした。スペシャリストより、ジェネラリストを求めていたのかもしれません。僕もそういった流れで、まったく知らない分野の部署に行くのかと思っていたのですが、今まで関わったことがある数学の分野で本当によかったです」
もともと物理学が専門だ。採用試験では数学の難題も出題されたが、しっかり解答できていたのかもしれない。しかし、配属先に喜びを感じる一方で、悔しさもあったという。
「配属は相対的な評価で決まるもので、全員が希望通りに配置されるわけではないですよね。希望通りの配属になった僕の喜びは、なんかしらの倍率をくぐり抜けた喜びに近く、例えばそれは、大学受験をして合格したときの喜びに似たものです。本当にその大学に行きたかったのかと言われればそうではなく、ただ難しいといわれる大学に合格したようなもの。相対的評価に振り回されていたんですね。それが悔しい」