残業と赤字一切ナシ 京都・佰食屋“1日100食限定”の働き方

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 1日100食限定とし午前11時開店、午後2時半ラストオーダーという短時間営業で利益を出している飲食店がある。京都の国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」(京都市右京区西院矢掛町21 シュール西院1F)だ。

 こちらを2012年に開業した中村朱美さんは、もともと専門学校の事務の仕事をしていたという。

「結婚を機に、家庭と仕事を両立できる働き方をしたいと思い始めました。私が勤めていたのはホワイト企業として有名なところでしたが、それでも役職がつくと部下を帰すために自分が残業を引き受けることは多々ありました。これはきっとどこへ転職しても同じで、自分が望む働き方をするなら、起業するしかないと思ったんです」

 中村さんは、不動産会社に勤める夫とともに開業を決意。もともとは老後にチャレンジしたいと話し合っていたのが、飲食店だったという。

「一般的な飲食店では、たくさんお客さんが来て売り上げが上がったとしても、従業員が得られるのはボーナス増額などくらいで、インセンティブが少ないと感じていました。いくら成果が上がっても忙しくなる一方では、意欲的に働けないこともあるのではないかと。そこで、毎日100食を達成すれば早く帰れるというやり方を選んだんです。残業も一切ありません」

 早く目標数を売り上げれば、早く帰れる。それならどのようにお客さんに来てもらうか、従業員たちも知恵を振り絞る。それによって生産性が上がる。佰食屋ではこうしてプラスの相乗効果が生まれていったという。

顧客目線で値段設定

 メニューを見てみると、「国産牛ステーキ丼」や「国産牛100%ハンバーグ定食」が1000円(税別)とお値打ち感もある。

「飲食店は未経験だったので、自分だったらどういうお店に行きたいかと考えて値段設定をしました。安くておいしい、コスパの良いお店だったら、人に教えたいと思いますよね。原価率などもわからない中で、自分がお客さんだったらという目線だけで決めました」

 店はたちまち話題になり、以降7年半、赤字になったことはないという。

 こうしたビジネスモデルが評価され、中村さんは「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選出され、19年日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー大賞」も受賞した。

「本当の働き方改革は、自分で働き方を選べるということ。ガチガチに就業規則を決めて、守れなければペナルティーというやり方よりも、従業員の意思を大切にすることが重要だと考えています」

 今、ちょうど世の中ではテレワークや時差出勤などが進められている。どれだけ働くかではなく、何をやるべきかを中心に、柔軟に働き方を考えてみる機会だと言えそうだ。

(取材・文=大西桃子) 

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