テレワーク長期化で高まる不安…メカニズムを専門家が説く
人間は、常に適当な、社会的な刺激を与えられていると脳が活性化し、心理的にも良い状態を保つことができる。逆に、刺激を絶やすと、その環境に耐えられなくなってしまう生き物らしい。
テレワークは、いわば日頃のサラリーマン生活から“社会的な刺激を制限された状況”だ。これが長期化すると、心理的に危険な状況になる可能性があるという。
埼玉学園大学の古澤照幸教授(社会心理学)が言う。
「アメリカで行われた興味深い実験があります。“他人と接触しない”で実験室内で24時間暮らす実験です。1日目は、起床後、数時間は起きて何かしら動いていますが、7~8時間後に寝て8~10時間ほどグッスリ。翌日また目覚めて独りで時間を過ごすわけですが、なぜか落ち着かなくてそわそわし始める。そう、不安傾向が高まるんですね。不安のほか、悲しみ、あるいは怒りを表に出す人もいます。つまり、人間は生きていく上で、基本的に社会的な刺激を絶やしてはいけないということ。先の実験では、個人差はあるものの、だいたい1~2日で“もうダメだ”と独りに耐えられなくなっていました」
ここで言う「刺激」とは、音楽、テレビ、新聞などに始まり、散歩やペットと遊ぶことも含まれる。テレワーク中は意識的に刺激を受け入れるべし。中でもペットなど生き物の存在は、“良い刺激”の部類らしい。単身者などは、ペットがいれば不安傾向も起きにくいかもしれない。