焼き鳥一筋37年 「八兵衛」社長・八島且典さんの巻<4>

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飯家 りょう(東京・六本木)

 六本木の交差点から六本木通りを溜池方面に歩いてすぐ。地下に有名な餃子屋さんが入るビルの2階にあるのがこちらです。

 福岡出身の店主・亮佑君は、福岡をはじめ九州から新鮮な魚介を仕入れていて、福岡の居酒屋を再現しています。30代半ばと若くても、食材の目利きのよさ、仕込みの丁寧さは、業界歴40年近い私から見ても間違いありません。

 印刷されたグランドメニューはありますが、仕入れによって入荷する食材がコロコロ変わりますから、1軒目ならおまかせがいいでしょう。8000円、1万円、1万2000円とあって、8000円で十分楽しむことができます。

 先日お邪魔したときのいくつかを紹介すると、この時季として外せないのは、生ガキです。「生ガキなんてどこでも」と思った皆さん、こちらは天然の真ガキを仕入れています。夏の岩ガキは天然ですが、冬の真ガキは多くが養殖です。

 佐賀の唐津から長崎の松浦にかけての海域には無数の無人島が点在していて、その総称をいろは島といいます。そのエリアは潮の流れが穏やかで天然の真ガキが採れることで有名なのです。養殖に比べると、粒は小さくても、味は濃厚。海のミルクをより堪能できるでしょう。

 東京に福岡系居酒屋は数あれど、いろは島のカキを仕入れている店は珍しい。仕入れのよさを物語っています。

 ゴマサバはもちろん、ビンビンのマサバですから、めちゃくちゃおいしい。しょうゆとゴマのバランスも抜群で。

 それとは別に刺し身の盛り合わせを用意してくれます。この日は、ブリとタイ、サワラの炙りにヤイトガツオ、ウニなどがきれいに盛られていました。ヤイトガツオはいわゆるスマガツオで、高級魚ながら全国にはあまり流通しませんが、熊本・天草辺りの海域では比較的よく揚がります。足が早いサワラを炙って刺し身で提供するのも魚好きにはたまりません。

目利きと仕事の良さで定番を1ランク上に

 カウンター6席ほどにテーブルが1つ。六本木のど真ん中ながら、喧騒とは無縁。落ち着いて食事ができるので、居心地がいい。飲食業界はコロナで厳しい状況ですが、雰囲気のよさも皆さんに応援されるゆえんでしょう。

 焼き白子に続いて、豚バラと白菜の煮物です。豚肉と白菜をミルフィーユ状に重ねて炊いた一品は、冬の人気メニューのひとつ。これを目当てに訪れる常連サンも珍しくありません。鍋ではなく、煮物として小皿で出されるので、サイズがちょうどいい。豚や出汁のウマ味、白菜の甘味などが混然一体となって、ホッとする味です。

 鶏の唐揚げは、骨付きのもも肉を使用。ちょっとした工夫ながら、骨があると、肉を食べているな、という実感がすごくわいてきます。骨の際までかぶりつくと、肉汁があふれてきて、ウマ味もたっぷり。焼き鳥屋の私が必ず頼む一品です。

 シメにインスタ映えを狙うなら、一升マスのイクラ丼でしょう。あふれんばかりのイクラが、インパクト大。どこまでも九州を追求するなら、五島うどんです。アゴ出汁がしっかり出ていて、刻みネギとワカメがぎっしり。九州を思い出すこと請け合い。

 紹介したものはメニューとしてはオーソドックスなものばかり。でも、一つ一つの目利きと仕事のよさで、すべての皿が光ります。東京ナンバーワンの福岡居酒屋です。

(取材協力・キイストン)

■飯家 りょう
東京都港区六本木3―10―9 枻川誠志堂ビル2階
℡03・5413・4930

■焼とりの八兵衛 1983(昭和58)年創業で、焼き鳥一筋37年。本店を構える福岡を中心に、東京・六本木と米ハワイにも出店。「豚バラとキャベツ」に象徴される博多スタイルの焼き鳥を国内外に広げている。

▽やしま・かつのり 社長になった今なお焼き場に立つ。ルーツである実家の精肉店で培った確かな食材選びと高温の備長炭で一気に焼き上げる職人技もさることながら、持ち前のバイタリティーと明るさで周りの人を魅了する。

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