通行者や近隣住民のクレームは決して甘く診てはいけない
交通誘導員がつねに恐れていることがある。それはクレームである。ドライバーや近隣住民のクレームは対応をひとつ間違えると大ごとになってしまうからである。こんなことがあった。
ある日、ガス工事現場に行くと、ガス工事会社専従の女性隊長が私の顔を見るや、こう声をかけてきた。
「柏さん、つかぬことを聞くけど、〇日の千葉の現場で犬を連れたお年寄りとトラブルにならなかった?」
心あたりは全くない。「どういうことですか?」と聞き返した。すると隊長は顔をしかめて「大きなクレームがあったのよ」と事情を話し始めた。
その現場では丁字路の突き当たり中央でガス工事が行われていた。道幅が狭いので車はすれ違いができないため、3方で車両通行止めとなった。自転車や歩行者は通れないこともないが、対応は工事の進捗状況次第ということになった。工事箇所にダンプが横づけされれば自転車・歩行者の通行もままならなくなるからだ。