面積計測アプリ「測屋平兵衛」強風被害の屋根修理が効率UP
屋根や空き地、田んぼなどの面積を、スマホのカメラで撮影するだけで簡単に計測するアプリが開発された。その名は測屋平兵衛。きっかけは屋根修理業者からの依頼だった。2019年秋、台風15号、19号の強風で数多くの屋根が被害に遭い、修理依頼が殺到した。手間のかかる屋根の面積計測を、少しでも効率化したいという業者の願いに、小さなソフトウエア開発会社が応えた。
■千葉県を襲った記録的な強風
開発した千葉市の株式会社テレマに話が持ち込まれたのは、台風被害から数カ月経った頃。茨城県の屋根修理業者からだった。
20年1月、勝浦市で観測された最大瞬間風速31・0メートルをはじめ、記録的な強風で、千葉県を中心に瓦が吹き飛ぶなど多数の屋根が被害を受けた。見渡す限りブルーシートに覆われた屋根が広がる光景は記憶に新しい。修理依頼でネックになったのが、屋根の面積計測だった。
「修理に取り掛かるにはまず屋根の面積を計測する必要があります。これが実際にメジャーで測るなど手間がかかっていて、1日3軒くらいしか回れないというお話でした」と、テレマ社長の三輪剛氏。
それが屋根をスマホやデジカメで撮影するだけで面積を計測できるなら、かなりの効率アップが期待できるというわけだ。
地元の復興に役立てるならばとアプリ開発を引き受けたテレマ。途中コロナ禍の影響も受けたがテレワークで開発を進め、今年2月にサービスをスタートした。
測屋平兵衛はウェブアプリなので、ネットに接続していればブラウザー経由で、スマホ、タブレット、パソコンなどで利用できる。
まずは面積を測りたい屋根や空き地などをスマホやデジカメで撮影し、アプリに取り込む。この画像に、1メートル四方のブルーシート、40センチ×30センチの瓦など、その面積がわかる基準物を一緒に写り込ませておく。
あとは面積を測りたい部分を画面上で指定すれば、基準物を基に面積が計算される。
計測する屋根や土地は長方形や正方形だけでなく、一部出っ張っていたりへこんでいたり、多角形でも計測できる。撮影した画像の解像度にもよるが、50メートル四方程度までは正確に計測できるという。
同社はある水田で、実際に測量した面積と、測屋平兵衛ではじき出した数値を比較検証したことがある。実測値133・921平方メートルに対し、測屋平兵衛は132・64平方メートル。約99%の精度だった。
「この時は水田の横を通る、幅1・8メートルの道を基準物にしました。1メートル四方のブルーシートなどを使えば、もっと精度は上がるはずです」(三輪氏)
測屋平兵衛はテレマのサイトで無料でお試し利用でき、月額1000円(税別)でデータ保存などもできるようになる。
スマホで撮影するだけで簡単に面積がわかるアプリ。次に台風で屋根が被害を受けた時には、大活躍することだろう。
(取材・文=五嶋正風)