忍成修吾さん 母の“おいなりさん”は酢飯ではなくまぜご飯

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 ドラマでこの人が登場するや「怪しい人物」と視聴者がざわざわするほど数々のヒール役を演じてきた忍成修吾さん。6月18日公開、西田尚美主演映画「青葉家のテーブル」では一転して心優しき小説家を演じて話題になっている。同作のテーマは食を通じて語られる人と人とのつながり。忍成さんに思い出のご飯を語ってもらった。

 ◇  ◇  ◇

 この映画はシングルマザーの春子(西田)と息子のリク、春子の友人めいことその彼氏、ソラオが暮らす青葉家が舞台になっています。

 生活雑貨デザイナーの春子は料理上手で、キッチン用品や食器などにも北欧風というこだわりがあります。撮影では料理の先生が作ってくださったんですが、すごくおいしかったです。料理の盛り付けやライトの当て方など細部までこだわっていて、細かいところも見てほしいですね。

 青葉家で暮らす4人の間にはいつもいい空気感があって憧れます。ただ一つルールがあって、それは「夕食は一緒」というものでした。そこはウチとは違いましたね。

 僕の両親は共働きで上に姉が2人います。ウチはみんな基本、マイペース。でも、父と食卓を囲む時だけは「食事に手を付けるのは父が先」という決まりがなんとなくありました。だからといって、厳格な父ではないんですけどね。

 食事中は姉2人がその日一日あったことを、とにかくしゃべっていたかな。時には両親が、結婚前の話をしてくれたりもしました。父と母は高校の同級生で知り合ってからの歴史が長い。学生時代のこととか、結婚式の打ち合わせに父が遅刻してきたとか、そんな話もよくしてくれました。

 あっ、ルールがもう一つ。僕は好き嫌いが激しくて特に魚介類が苦手だったんです。でも、出された料理は全部食べ終わるまで席を立たせてもらえなかった。例えば貝の味噌汁の身を残すでしょ。すると、2番目の姉が貝にはどんな栄養があって、いかに体にいいかをこんこんと説明して食べさせようとするんです。結局、みんな僕が食べ終えるまで食卓に残って付き合ってくれました(笑い)。

最新作ではタコスを作る心優しき小説家

 映画の中ではタコスをトルティーヤから作ったんですが、結構難しかったな。具をトルティーヤに入れ込むのが大変でした。なにしろ、実家にいた時は一度も料理をしたことがなかったですから。18歳で一人暮らしをしてから、コロナ禍になる前までほとんど自炊しなかった。けれど、自粛が続いて家にいることが多くなってからは、おのずと作るようになりました。

■出汁で煮るピーマンの肉詰めもおふくろならでは

 僕が自宅で作るものはごく簡単なものばかりですよ。一つはピーマンの肉詰め。これは好物だったので、おふくろからレシピを教えてもらって作るようになりました。

 これ、上京してから知ったんですが、みなさんが食べているレシピと違うんですよ。一般的な肉詰めは焼くのがスタンダードだけど、ウチは煮るんです。味付けもケチャップやソースじゃなくてかつお出汁。ひき肉をピーマンに詰めて、ナスとシイタケと一緒に煮るだけなんです。

 だから、友だちと飲みに行った居酒屋でピーマンの肉詰め頼むと「なんで焼いてあるんだよ!」って思います(笑い)。

おふくろメシは断然「おいなりさん」

 でも、おふくろメシはって聞かれたら断然「おいなりさん」です。運動会や遠足などのイベントの時は必ず作ってくれました。

 我が家の作り方。油揚げを切って裏返したら、麺つゆと水と砂糖で煮る。油揚げを裏返すのは味がよく染み込むからだそうです。中に入れるのは鶏ひき肉とシメジを水で煮てから塩で味付けするまぜご飯。ウチは酢飯じゃないんです。母のものではないおいなりさんを初めて食べた時はすごい衝撃的でしたね。酸っぱいし、甘いし、揚げは裏返しじゃなくてツルツルしている。食べるのをためらったほどです。

 コロナ禍で自炊するようになってから、料理を作るのは大変なんだってつくづく思いました。

 メニューを考えて買い物に行って、材料を切って作って、後片付けをする。買い物前は食材を無駄にしないように、冷蔵庫に何が残っているかもチェックしなきゃいけない。

 一人暮らしだから、一度作って余ったものはアレンジしています。例えば、トマトベースのクリームを作って、鶏肉のグラタンを作ったら次の日は残ったソースでリゾットを作るとかですね。

 バランスも考えてますよ。最近行くスーパーは店内で野菜を水耕栽培しているんです。その野菜がすごくおいしくて、オリーブオイルと塩だけで食べています。

 こんなふうに料理を作るようになってから思うのは、いつもおいしいものを作ってくれた母や姉たちへの感謝です。好き嫌いが激しかった僕のわがままにも付き合ってくれました。

 実家に帰る前に「おいなりさん食べたいな」って言うと、面倒だからなのか、「えーっ!」なんて言って、でも、作ってくれるんですけどね(笑い)。

(取材・文=李京榮)

▽おしなり・しゅうご 1981年、千葉県出身。主な出演作に映画「本気のしるし」「VIDEOPHOBIA」、ドラマ「レッドアイズ 監視捜査班」「演じ屋」、バラエティー「痛快TVスカッとジャパン」、舞台「迷子の時間―語る室2020―」など。

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