【軍艦島】高度成長を支えた炭鉱の島

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 人生と同じように旅をするのにも健康が第一。歩くのがおっくうになり始めると、旅に出ようという気力も薄れてしまう。元気なうちに行っておきたい極上のスポットを紹介しよう。

 ◇  ◇  ◇

 廃虚が心に響くのは、紛れもなく存在したであろう活気や賑わいが失われてしまったという現実を浮き彫りにしているからだろう。もとが立派であればあるほど、なくしてしまった悲しさやむなしさはジンジンと伝わる。

 長崎市の沖合に浮かぶ「軍艦島」(正式名、端島)は、東京ドームでいえば5個分ほどの広さに、最盛期で5300人もの人たちが住んでいた。彼らは当時の最先端技術で建てられた高層集合住宅に住み、モノに満たされた暮らしをしていたという。そのすべてが巨大な廃虚となり、訪れる人をひどく感傷的にするのだ。

 とりわけ高度経済成長期を知るシニア層であれば、失われてしまった歳月に思いを馳せることになるだろう。軍艦島の海底炭鉱は1974(昭和49)年1月に閉山し、同年4月20日には住民がゼロになった。用済みとなった建物は、高波と強風によって崩壊を繰り返し、現在に至っている。小中学校はもちろん、病院、映画館、ビリヤード場、パチンコ屋、食堂、スナックもあり、「ないのは緑とお墓と焼き場だけ」といわれるほど栄えた島は、朽ち果てるのを待つばかりの運命となっている。廃虚が廃虚として存在しているうちに訪れておきたい場所だ。

上陸は天候次第

 上陸を目指すには「軍艦島クルーズ」を実施しているツアー会社に予約しなければならない。長崎市中心部の港からは4つの業者が船を出している。料金や内容はそれぞれ少しずつ違うので、比較検討する必要があるが、いずれのツアーも波の高さが50センチを超えると長崎市の上陸許可が下りず、船の上から遠巻きに眺めることになるのは同じだ。上陸できるかどうかは天候次第。1回目で難なく上陸できる人もいれば、3回目でようやく、というケースもあり、こればっかりは運を天に任せるしかない。記者が昨年、初めて訪れた際は“ベタなぎ”で、やすやす上陸することができた。

 建物は崩壊の度合いを深めて危険な状態のため、見学できるエリアは島の一部に制限されていて、滞在時間も40~50分ほどと限られている。それでも、目の前に広がる光景は絶対に他では見られない唯一無二のもの。島の歴史を自らの半生に重ねながら歩いてみたい場所だ。

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