ストレスが限界! 高級ブティックのドアマンの仕事は「ナチの拷問」だった

公開日: 更新日:

警備員編

「人生で一番つらい仕事だよ」──。ブティックのドアマン警備員をやって、知人から仕事内容を聞かれるたびにこう答えた。大学時代に20種類近いバイトを経験したが、これほど心身が疲弊するものはなかった。

 何がつらいのか──?

 一言で表現すると「何もしなくていいから」。突き詰めて言えば「何もしてはいけない」ということである。ドアマン警備員は両手をへその下で組み、所定の位置に立っているだけ。たまに来客があると「いらっしゃいませ」と声をかけるが、来客は1時間に3、4組だ。それ以外はひたすら黙って立っている。それも背筋を伸ばした直立不動の姿勢が求められる。ドアの開閉もない。

 これがつらい。足が疲れる。実は私は扁平足。そのため歩いているのはあまり疲れないが、立ちづめだと足首から下にムズムズするような疲労感が広がるのだ。半径50センチなら動いていいと言われたが、それくらいでこの不快感は克服できない。

 尿意もないのに「トイレに行きます」と断ってその場を離れることも再三あった。駅のトイレが往復10分と遠いおかげで足腰の運動になる。店に戻るときは「行くぞ」と気合を入れる。悲壮というしかない。ナチの拷問に、狭い空間に人を立たせて何日間も放置する方法があったと何かの本で読んだことを思い出した。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾