横須賀「大衆酒場ぎんじ」では黄色い声の女子を店がたしなめ…こういうのがいい

公開日: 更新日:

削りたての鰹節がうまい!

 まずはホッピー(500円)から。それと名物の湯豆腐半丁(300円)。店内には遠慮がちに「写真禁止」の張り紙が。了解。目の前のでかいアルミの鍋から豆腐をすくい、表面に和辛子をさっと塗ってから鰹節と刻みネギをのせる。鰹節は奥でお姉さんが削っていた削りたてだ。これが死ぬほどうまい! この豆腐が崩れる寸前の柔らかさ。うすく味が付いていて醤油は不要。一気に平らげてしまった。

 ここでイワシの刺し身(400円)をもらう。エプロン姿のお姉さんがさばいて出してくれた。脂がのってキラキラ輝いている。2、3キレまとめて口に放り込む。甘い脂が口中に広がる。ここで酒(400円)をもらう。目の前の年季の入った銅壺で燗番の店主の女性が燗をつけてくれる。

 カウンター内では3、4人のお姉さんたちが無駄口をきかずに働いている。でも、神経質な緊張感はない。普段着にエプロンをつけて、にこやかに動いている姿が実に楽しげだ。そこは厨房というより広い台所という方が似合っている。だから家で飲んでいるようにくつろげるのだ。

 外に目をやれば徐々に日が落ち、店内の裸電球に火がともる。セピア色の店内は夢かうつつか。お酒をもう一本と湯豆腐をお代わり。この辺でやめておこう。初めての店で酔っぱらって出禁にはなりたくないからね。

 百恵ちゃんしかいなかったアタシの中の横須賀に、もうひとつ、「ぎんじ」という名前が刻み込まれた夜でした。

(藤井優)

○大衆酒場ぎんじ 横須賀市若松町1-12

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    前田健太「ドジャース入り」で大谷との共闘に現実味 日本復帰より「節目の10年」優先か

  2. 2

    井桁弘恵ショートカットで“山之内すず化”が加速! 「そっくり問題」いよいよ待ったナシ

  3. 3

    大阪万博は開幕1カ月を待たずトラブル続出…場当たり説明でGW後半の盛り上げムードに水を差す協会の大罪

  4. 4

    巨人阿部監督はなぜ田中将大にだけ甘いのか…2試合連続炎上でさすがに二軍調整も

  5. 5

    小田和正「77歳の現役力」の凄み…現役最年長アーティストが守り続ける“プロ意識”

  1. 6

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  2. 7

    ダウンタウン復帰が外部資金でコンテンツ配信のナゼ…松本人志に浮上した疑惑の顛末

  3. 8

    斎藤元彦・兵庫県知事が頑迷に貫く「治外法権」…公益通報を巡る国の勧告もガン無視

  4. 9

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  5. 10

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???