著者のコラム一覧
髙橋裕樹弁護士

「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。アトム市川船橋法律事務所。

問題だらけの被疑者取り調べで可視化(録音・録画)ようやく試行へ…検事総長の発言に期待

公開日: 更新日:

 日本の検察のトップである畝本直美検事総長が2月19日、検察幹部の会合で、任意での取り調べにおいても可視化(録音・録画)を試行することを発表しました。

 これは大きな前進になると私は評価しています。刑事事件の捜査における被疑者の取り調べは、外部からの情報が一切遮断された密室で行われ、また基本的に弁護士の立ち会いが認められることはほとんどなく、被疑者はたった一人で取り調べに臨まなければなりません。

 そのような状況で行われる取り調べは、時に長時間化したり、担当警察官・検察官による威圧的、侮辱的な発言を伴ったり、利益誘導が行われ、違法・不当なものになることがあります。そのような取り調べを受けた被疑者は精神的・身体的なダメージを受け、最終的に自身の意に沿わない供述をしてしまうというケースが少なくありません。

 本来、被疑者・被告人には、黙秘権が保障されているのですから、このような黙秘権を侵害する取り調べは決して許されるべきではありません。

 最近では、取り調べ中の検察官が、被疑者に対し、「ガキだよね」「お子ちゃま発想」「ウソつきやすい体質」と発言したことが、裁判所で違法と判断され、国に110万円の賠償を命ずる判決がなされました。また、2019年の参議院選挙での大規模買収事件で取り調べを受けた元市議会議員に対し、担当検察官が「不起訴を示唆し、供述を行うよう誘導した」ことについて、最高検が「不適切」な取り調べであったとする調査結果も報告されています。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑