警察はやる気があるのか? 今度は川崎でストーカー被害の20歳女性が殺される
ストーカー規制法(2000年に制定・施行)は、週刊誌の記者による執念の調査報道から生まれた。1999年、埼玉県桶川市で起きた女子大生殺人事件に疑念を抱いた写真誌「FOCUS」の清水潔記者が、被害者が交際相手から苛烈なストーカー被害を受けていたこと、上尾署が「民事不介入」を盾に不誠実な対応に終始し、助けられる命を救わなかったことを、綿密な取材に基づいて詳細に報じた。
さらに清水は、独自に犯人グループを割り出し、誌面で名指ししたのである。この問題は国会でも取り上げられ、埼玉県警本部長が記者会見を開き、「殺害は避けられた」と国民に向けて謝罪した。週刊誌の歴史の中で、今も語り継がれる大スクープであった。
だが、今もなおストーカーによる殺人事件は後を絶たない。2013年には東京都三鷹市の女子高生が元交際相手に殺害され、つい最近も、博多駅前で女性が元交際相手に刺殺される事件が起きている。残念ながら、この法律は今や“ザル法”になっていると思わざるを得ない。
ここで、40年以上前の私の実体験について書くことをお許しいただきたい。社の別の部署の女性編集者が、「妹が以前少し付き合っていた右翼の男に付きまとわれて困っている」と相談に来た。自宅にも何度も押し掛けて来て、病身の父親を脅している。妹の身が心配だが、神奈川県警は「男女関係には立ち入れない」と何の対応もしてくれないというのである。