根津「車屋」で厚みがあり脂の乗った鯖の一本寿司を堪能

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鯖寿司は酒のつまみにもってこい

 壁には数種類の地酒の銘柄が貼ってあり、これはもう、飲まないわけにはいかない舞台設定が整っている。ならばアタシもそれにノルことにしよう。宮城の辛口・日高見の冷酒だ(920円)。同時に出てきた稚鮎の唐揚げを口に放り込む。噛みしめると鮎独特のさわやかな苦みが広がる。そこに冷たいヤツをぐびり。サイコ~。隣の席では刺し盛りで冷酒を楽しんでいるご同輩お2人が、まさに感に堪えぬといった様子で「至福ですなあ」「いや、まったく」。アタシと目が合い、お互い笑みを交わす。実に大人の酒。結構ですな。そこに鯖の一本寿司を持った柳井さんがやって来て「すいませんね。短い時間で」。いや、十分堪能させていただいてますよ。

 さて、待望の鯖寿司だ。小ぶりの一口サイズに切り分けてあり、酒のつまみにもってこいだ。厚くて脂の乗った鯖は締めが軽くてアタシ好み。酢飯には白ゴマが混ぜ込んであり、香ばしい風味がまたいい。横からの視線を感じて振り向くと、ご同輩が「うまそうですなあ」。よだれをたらさんばかりに鯖寿司を見つめている。

「サイコ~です。せっかく開店時に予約したんですから、売り切れ前に食べなきゃ後悔しますよ」。彼らをちょいと挑発してアタシはぺろりと完食。3代目は道場六三郎さんの店で修業した経験がある。なるほど、ここの料理が居酒屋レベルではないはずだ。銀座あたりの高級和食でもおかしくない。が、値段が安いばかりか、ざっくばらんな肴も豊富だ。そこはまっとうな居酒屋としての矜持か。もっと食いたい肴や飲みたい地酒もあるが、そろそろ予定の1時間。次回はちゃんと予約しなきゃ! (藤井優)

○車屋 文京区根津2-18-2

【連載】今、こんな「昭和の街」が大ブーム

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