石川県立図書館(石川県)読んで体感できる“円形劇場”
兼六園から湯涌温泉方面へ約2キロ。
3万2878平方メートルの広大な敷地にある建物は、地上4階、地下1階。延べ床面積2万2720平方メートルは図書館として国内有数の広さを誇る。
圧巻はギリシャの円形劇場を彷彿させる館内。4階まで吹き抜けになっており、県産の木材を使った内装や本棚が落ち着いたたたずまいを演出している。
司書専門員の池畑木綿子さんが言う。
「海外では珍しくない円形図書館ですが、普通に本を並べるのに比べて、資料の管理が難しいという難点があります。でも、図書館はブラウジング(見て回る)をしながら本を探すのも楽しいですから。本来の図書分類法で本を並べると、慣れていない人は捜している本がどの分類にあるのかわかりにくいので、『暮らしを広げる』『仕事を考える』など12のテーマに分けて配置しています。置き方も表紙を表に向けており、館内をぶらぶらしながら気になる本を手に取りやすくなっています。館内で手に取れる本は約30万冊、書庫を含めると約110万冊の蔵書があります」
郷土資料はもちろん、生物文化多様性に関する資料も豊富だ。
「1階には石川県の文化と自然を深く知るための『里の恵み・文化の香り~石川コレクション~』の展示コーナーがあります。『伝統文化』と『里山里海』に関する資料が4万冊。伝統工芸だと、例えば明治時代の焼き物の図案や、江戸時代の着物の型紙など、著作権フリーのものはデジタルアーカイブになっています。2階の『モノづくり体験スペース』にはUVプリンター、3Dプリンターがあり、週3回の開室時間内なら作品を自分で作ることもできます」(池畑木綿子さん)