女子大学の社会的使命は終わったのか? 武庫川女子、鎌倉女子…経営状況がいい女子大の共学化の狙い
鎌倉女子大学と同じように経営状況の数字もよく、ほとんどの学部で入学定員充足率が好調な兵庫県の武庫川女子大の共学化は、とりわけマスコミに注目された。25年に看護と経営の二学部を新設したばかりで予想外でもあった。卒業生などから反対の声が高まり、オンライン署名で5万人を超えたという。同大学は13学部のマンモス女子大だ。学部構成も文系や医療系のほかにも、建築学部だけでなく生活環境、社会情報、環境共生など文理融合の性格が強い学部もある。
■女子受験生に対する理工学系学部の門戸を拡大
近年、文科省や産業界は、女子受験生に対する理工系学部の間口を広げる方向を歓迎している。それをバックに多くの大学で理工系女子志願者を集めるために力を入れ始めている。関西圏でも奈良女子大に工学部ができ、京都大・大阪大・神戸大の理工系学部の女子枠が新設される。この動きに対応して、女子受験生の間でも理工系志向が高まりつつある。
この様々な動きを読んで、武庫川女子大学では、今後、データサイエンスを含めて理工系分野により広く優秀な受験生を集めるには、共学化して女子だけでなく理系男子にも広く開放していくべきという経営判断に至ったのだろう。さらには、少子化が進む状況で、理工系に限らず医療系や経済・経営系の学部の充実・強化には性差を超えた協働の学びが欠かせない、という大局的見地にたったのではないだろうか。