著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(2)小倉の角打ちで飲む

公開日: 更新日:

 市場の朝は早い。ひと仕事を終えた人々がほんの1杯か2杯、酒屋の店先でひっかけてから仕事に戻る。そんな光景が大正期からずっと続いてきた。その光景が失われる。来年の早いうちということは、私にとっての赤壁酒店は、これで見納めということになる。先に書いた角打ち特集の取材時、最初に訪れたのが赤壁酒店だった。私にとって角打ちと言えば赤壁なのだ。

 あの日、ひとりの老人と隣り合わせた。シルバーワークの仕事の帰りと言ってにこりと笑った。手元を見ると、焼酎の横にデカビタCがあった。チェイサーにしているのだ。

「いつも、その組み合わせなんですか」

 と聞く私に、老人、ひどく照れながら言った。

「あの、前回から、はははは」

 笑顔が抜群だったご老人、元気だろうか。もう一度会いたい。今年中に小倉を再訪すれば、そんな奇跡に巡り合えるだろか。

【連載】大竹聡 大酒の一滴

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    米価暴落の兆し…すでに「コメ余り」シフトで今度こそ生産者にトドメ

  2. 2

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  3. 3

    ママに贈り物? 保護ネコがまさかの獲物をスープに投入…米動物団体の動画に飛び交う笑いと悲鳴

  4. 4

    「大阪・関西万博」閉幕翌日、閑散とした“別世界”を歩いた…大屋根リングもガラガラ

  5. 5

    農水省は「生産量が需要を大幅に上回る」と…“コメ余り”予想でも新米価格が下がらないワケ

  1. 6

    “上級国民”の上から目線にウンザリ…「ワークライフバランス」庶民はとっくに諦めている

  2. 7

    宝くじで2億円ゲット、パーティーざんまい…英在住男性“暴走生活”の顛末とその後に悟ったこと

  3. 8

    「関東大震災」「阪神大震災」「東日本大震災」発生時のジンクスにネットがザワめく複雑理由

  4. 9

    高市早苗新総裁は「馬車馬」で早くも馬脚現す…政治家だって日本語の使い方は間違いだらけ

  5. 10

    今なお続くトカラ列島近海の群発地震…元国立極地研究所所長・島村英紀氏が気象庁の発表に“反論”

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ドラフト目玉投手・石垣元気はメジャーから好条件オファー届かず…第1希望は「日本ハム経由で米挑戦」

  3. 3

    高市自維政権で進む病人・弱者切り捨て…医療費削減ありき「病床11万床潰し」すでに3党合意の非情

  4. 4

    創価学会OB長井秀和氏が語る公明党 「政権離脱」のウラと学会芸能人チーム「芸術部」の今後

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 7

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    米価暴落の兆し…すでに「コメ余り」シフトで今度こそ生産者にトドメ

  5. 10

    まだ無名の「アマNo.1サウスポー」評価爆上がり!23日ドラフト「外れ1位」なら大争奪戦も…