「品質向上」より「品質を高める」のほうが人に響く言葉になる理由

公開日: 更新日:

動きを感じさせる

 情報が溢れかえる現代。発信しても期待したほどには「見てもらえない」「読んでもらえない」「選んでもらえない」ーー。

 原因は、中身ではなく「最初の言葉」にあるかもしれない。タイトル、見出し、キャッチコピー、件名、商品・サービス名称、SNSの投稿・やりとり――。中身を詳しく見てもらう前に、最初に相手の目に触れる短い言葉が、その後の反応を左右することがあるからだ。

 Web編集者として7000本超の記事タイトルを考案し、数万本のデータを分析してきた武政秀明氏は、短い言葉で相手の心をつかむコツの一つに「動きのある言葉」を使うことが重要だと指摘する。武政氏の著書『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

  ◇  ◇  ◇

 言葉には「動いているもの」と「止まっているもの」があります。

「品質向上への取り組みについて」

「効率化の実現に向けた施策」

「コスト削減の検討事項」

 これらの表現を見て、どんな印象を受けるでしょうか?

 正確で丁寧な日本語です。でも、どこか息苦しい。まるで標本を見ているような感覚になりませんか。

 今度はこちらを見てください。

「品質を高める」

「効率を上げる」

「コストを削る」

 同じ内容なのに、なぜかエネルギーを感じます。何かが動き始めそうな予感がある。

◼️動詞が持つ魔法

 違いは動詞の使い方にあります。

 前者は「取り組み」「実現」「検討」といった名詞中心。後者は「高める」「上げる」「削る」という動詞が主役。たったそれだけで、文章の印象はガラリと変わります。

 動詞には不思議な力があります。読み手の頭の中で、実際に何かが起こっている場面を映し出してくれる。「システム導入の効果」と書かれても、正直ピンときません。でも「システムの導入で仕事を減らす」なら、変化の瞬間が見えてきます。

 考えてみれば当然かもしれません。私たちの日常は動詞の連続です。起きて、食べて、働いて、笑って、眠る。名詞だけの世界なんて存在しない。だから動詞のある言葉のほうが、自然で生き生きと感じられるのです。

 動きのある言葉を作るには、もう一つ大切なコツがあります。

 リズムです。

「品質を高める、効率を上げる、コストを削る」

 短い文を並べると、テンポよく読める。音楽のようなリズムが生まれます。

 なぜリズムが「動き」を生むのでしょうか。それは短いセンテンスが頭の中でテンポよく処理され、読み手に推進力を感じさせるからです。長い文章は立ち止まって考える必要がありますが、短い文章は次々と頭に流れ込んでくる。この流れるような感覚が「動いている」印象を作るのです。

「軽量高性能掃除機で掃除を効率化」

「軽々動くから、掃除もラクラク!」

 後者は、リズミカルに頭に響いてきます。この例では、「軽々」「ラクラク」という繰り返しの音がリズムを作っています。しかも「軽々動く」→「掃除もラクラク」という因果関係が、まるで軽快なステップを踏むように展開していく。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    男性シニアの再就職は元公務員でもこんなに難しい 中高年がハマりやすい「リスキリング」の落とし穴

  2. 2

    なぜ女性天皇はダメなのか?旧宮家の養子案そのものが、女性・女系天皇を阻止するために生まれたものだ

  3. 3

    日本三景「天橋立」にクマ出没も“スピード捕獲”できたワケ…宇都宮市では3日と難航したのに

  4. 4

    能力アピールも資格取得もムダ! 元公務員でも難しい「男性シニアの再就職」を突破できるのは「謙虚な人」という“無慈悲な実情”

  5. 5

    「士業で独立」を夢見る中高年の理想と現実 60歳を過ぎても役に立つ資格とは

  1. 6

    これが日本の「中流」サラリーマン転落の軌跡 年金の「繰り上げ受給」を選ぶのは、お金と仕事がない人

  2. 7

    佳子さまは「皇室を出たい」が本音? 秋篠宮さまは女性皇族問題めぐり宮内庁に異例の「苦言」

  3. 8

    伊藤博文らの「皇室典範」をめぐる議論では、女性天皇や女系天皇を認めることが検討されていた

  4. 9

    クマが西日本各地でも異常出没する深刻事情…とうとう神戸市内でも初確認される

  5. 10

    5年に1度の皇室と旧宮家の交流の場「菊栄親睦会」は2014年から開催されず…関係性の変化と養子案の皮肉

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市事務所が「疑惑のデパート」になってきた…総理大臣の「名前」「イメージ」利用し商売する不可解

  2. 2

    新庄監督またチクリも…上沢直之に選手や関係者が同情するワケ 日本ハム提示「1億7000万円未満」説まで浮上

  3. 3

    五月みどりと中村玉緒が共に施設に入居…“同い年の女優”それぞれの晩年

  4. 4

    松村北斗&目黒蓮の"2強"を崩すSTARTO社の若手演技派は? 男性アイドル戦国時代のカオス

  5. 5

    森香澄はピアニストを夢見て練習に打ち込むも、1浪して東京女子大現代教養学部へ…高校は都立新宿

  1. 6

    無邪気過ぎる“激ヤバ”高市外交が世界に恥さらし…首相は英国で、進次郎氏はインドネシアでやらかし大炎上

  2. 7

    アルバム『リボルバー』はライブから解放されて最新技術とワチャワチャ格闘した一枚

  3. 8

    米国内調査結果で驚きの結果…W杯期間中の主役はメッシでもC・ロナウドでもなく大谷翔平だった!

  4. 9

    日々の活力は妻の「オーダーメイド」の卵焼き。そして専大松戸から今年プロ志望届を出す3年生はゼロ

  5. 10

    「ペチュニア」と「キンギョソウ」が見頃を迎えた花と緑のテーマパーク「東京ドイツ村」入場券を5組10人にプレゼント