「お受験したい」6歳娘の言葉にアタフタ。“公立で十分”は親の勝手な思い込みですか?

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コクハク

6歳の娘、突然のお受験宣言

【頭でっかち「中学受験」挑戦記:低学年編】

 それは、現・小学1年生である我が娘・ミオリ(みーちゃん)が保育園年長の夏であった。彼女は突然、母である私にたずねてきた。

「ねえママ、みーちゃんは、小学校に上がったらどんなせいふくを着るの?」

 ミオリは近所にある公立の小学校に上がることが決まっていた。公立でも制服がある地域・学校もあるらしいが、私が住んでいるのは神奈川なのでもちろん、制服はない。

 どうやら、ミオリが通う幼児教室の同級生が私立の小学校をお受験する予定であり、その話を上澄みだけすくって「小学校になったらかわいいせいふくを着て学校に行く」と思い込んでいたらしい。彼女が好きな『SPY×FAMILY』のアーニャが通う名門校・イーデン校のことも頭にあったようだ。

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「それは試験を受けて入る高級なおりこうさんの小学校。あなたは制服のない普通の小学校に行く予定だよ」

 ということを説明するも、彼女は目を輝かせた。

「じゃあ、みーちゃんも試験うけて高級なおりこうさん学校いくよ」

 あまりにも急なことで戸惑い、申込は終了したということにしてことなきを得た。それ以来、「おりこうさん小学校に行きたい」などという言葉は彼女の口から出なくなった。まぁ、単なる子供の思いつきで、確固たる意志があった、というわけでもなかっただろう。

 しかしながら、私の中でモヤモヤが残った。

娘の夢をひとつ潰してしまった?

 地方の一般家庭出身の私には、子どもを私立小学校に、という発想が一切なかった。それは、自分が公立小ルートを不自由なく辿ってきたから。

「高額な出費をしてまで、まだ幼い子をラッシュの電車に乗ってまで行かせるなんて信じられない」と、私立小学校を否定的に思っているところもあった。夫も地方公立ルートを辿ってきているので、夫婦ともに確認しあわずとも一致している意見だ。

 だけどミオリが実は、あの小さい頭の中で「私立小学校に行きたい」と本気で願っていたとしたら――? 娘に対し、「申し訳ない」と思ってしまった。

 いまさら小学校受験対策教室に通うなんてできないし、金銭的な余裕もない。家柄に格も品もない。だが、親の一存で、彼女の夢をひとつ潰してしまったような気がしてならなかった。

公立に進学した私。もしあの女学校に入学していたら…

 私は首都圏からはるか遠いある地方都市出身で、小中はもちろん公立だった。

 しかし、家の近所には、ミッション系の私立中高一貫女子校があった。

 私の実家は自営業で、その中高一貫女子校の取引業者であった。幼い頃は、仕事の話に行く親に連れられて、その学校の敷地内でよく妹と遊ばされたものだ(牧歌的な時代だった)。

 素敵な庭、中世のお城のような建物で、お姫様ごっこが楽しかった。シスターや生徒たちにもよくしてもらい、仏教徒であるが、付き合いでクリスマスはその学校の教会に毎年祈りを捧げに行っていた。そこで出されるココアとクッキーの味が今でも忘れられない。

 だから、中学はてっきりその学校に行くものだと思っていた。実際、父親もシスターに「娘を通わせるんでよろしく」ということを言っていた。小学校の同級生にも「中学校は一緒のところに行けないんだ」と、話したこともある。

 だが、ふと気が付けば、公立中学校に入学していた。

両親に「中学受験」という発想がなかった

 入学して間もなく、「あの女学校に行く話があったよね」と親に話したところ、「えー、行きたかったの?」と意外そうに軽く流されてしまった。シスターへの挨拶は営業トークだったことに、そのとき気づく。

 両親は共に地元の公立小中出身だ。今の私に小学校受験の発想がないのと同じように、中学校受験という考え自体がなかったのだろう。もし、自分から「受験したい」と積極的に申し出たとしても、向き合い方がわからず、スルーされていた可能性は十分にある。

 私が当事者だった30年ほど前は、今ほど中学受験というのが一般的ではなかったと思う。地方ならなおさらで、いくら校区内にある学校だと言えど、通っていた公立小学校からその私立中学校に進学した生徒は0人だった。

 結果的に、小中学時代はのんびり過ごすことができたが、あの時、中受をしてあの女学校に行っていたならどんな人生になっていただろう、とふと思うことがある。

一度、「公立で十分」という固定観念を見直そうか

 選択肢がいくつか目の前あり、選ぼうと思えば選べたはずなのに、知らずに他の選択肢に進んでしまったことが、小さな悔いとして自分の中にある。

 だからこそ、金銭的な問題や時間的余裕は別にして、多くの選択肢がある首都圏に住んでいるのに、親の「公立で十分」という固定観念で子どもの選択肢が絞られてしまうのは、どこかもったいない気がした。

 我が家のある神奈川県の小学校の受験率は13%ほどらしいが(※)、それでも0%の小学校を卒業した身としては多い方だと思う。

 現在小学1年生のわが子。両親・親戚ともに中学受験経験なし。自慢できるような大学は共に出ていない。だけど、教育は熱心な方だと思う。最近、スレッズで話題になっていた「低学歴教育ママ」と呼ばれる要素たっぷり。しかも、神奈川・湘南地区在住の庶民。我が家が中学受験に臨むにあたって、一応環境はあるものの、アドバンテージは一切ない。

※参照:神奈川県の中学受験が熱心な市区町村ランキング【完全版】 (ダイヤモンド教育ラボ)

イキリや「お花畑発言」にはご容赦を!

 だからこそ彼女が、いつか本気で中学受験の意向を示した時のためを見据えて、今のうちから準備・情報収集をしていくべきではないか--そう思った。

 これから日々紡いでいく中学受験をテーマにした連載は、現在低学年の娘・ミオリが中学受験に本気で向き合う時期が来る前に備えて、現在の教育トピックや中学受験の現状などを、イチからリサーチし、心の準備をしてゆくための記録である。

 低学年特有のイキリやお花畑発言もあるかもしれないが、その点はご容赦を。

(しろいしろ)

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