「僕はこういう女性を待っていた」思想史家の大家・子安宣邦氏が88歳で新たな恋に落ち、89歳で再婚した理由
老年だからとまったく躊躇はなかった
急速に彼女との関係が深まっていくが、「初めから2人とも惹かれていた」ようだ。
「老年ゆえの慎重な手続きを踏んでよさそうなものでしたが、それがまったくなかった。成熟したひとりの男と女として、どちらからともなく、これからは共に過ごすと心が決まっていたかのようです。こうした出会いを最晩年に持てたのは、神のおぼしめしかもしれません」
結婚に関しても、自然な成り行きで決まっていく。
「お互いの家を行き来しているうちに、娘から『そろそろちゃんと結婚したら?』と言われたんです。コロナの最中で、他人のままだと病気になって入院しても、家族としてお見舞いに行けないという事情にも背中を押されました」
「今日、もらってこない?」「そうだね」。ある晴れた日、あうんの呼吸で役所に婚姻届をもらいに行った。2人の家族と一緒にご飯を食べた後、書類を提出した。子安さんは89歳、松井さんが76歳だった。

















