セミが怖くて外出不能に…“たかが虫”と笑えない 専門医が語る「特定恐怖症」の正体
他者が強制的に行うのは逆効果
実際に「恐怖症」の患者を診察し、克服に導いたこともあるという。
「以前、注射恐怖症で健康診断が受けられず、来院された方がいました。その方は切羽詰まった状況だったため短期間の暴露療法で克服されましたが、一般的には徐々に慣らしていく長期的な治療になります」
具体的にはどのような治療法なのか。
「まずは恐怖の対象について正しく知る『心理教育』から始めます。セミであれば、実際には危険な生き物ではないという事実を客観的に理解していきます。その後、暴露療法に移行し『不安階層表』という方法を用います。遠くから眺めるレベル1、少し近づいてみるレベル2…など徐々に距離を縮めていき、段階的に自信をつけていく手法です。年単位の期間が必要となるため、今年の夏には克服というのは現実的に難しい。シーズンが終わってから来年に向けて準備を始めるのが現実的です」
ただし、他者が強制的に行うのは逆効果だとも強調する。
「本人の意思がない状態で恐怖の対象に晒すと、症状がさらに悪化したりトラウマになる危険がある。本人が強く治療を望むことが前提です」
最後に、受診を迷う人に伝えたいことがあると話す。
「『この程度の悩みでもいいのか』と躊躇する方が多いのですが、恐怖症は治療で改善するケースが十分にあります。不便を感じていたり改善したいと少しでも思っているなら受診してほしい」
周囲に理解してもらえない場合は「特定恐怖症」という概念を説明することが有効だという。相談を受ける側も、大げさだと一笑に付さないことが大切だ。
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