(44)戸隠の蕎麦打ち旅
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私はこのとき、生涯で2度目の蕎麦打ち体験をした(要予約で誰でも体験可能)。蕎麦打ちのプロと差し向かいで、懇切丁寧に指導を受けながら、必死で取り組んだ。蕎麦粉に水を適度に絡ませて練っていくだけでも、相当に難しい。このとき、適量の水がまんべんなく粉に行きわたらないと、その後、棒で延しても、全体が均等にならない。つまり、まったくダメな蕎麦になる。
水を含ませた粉を練って空気を抜き、それから円形になるよう延し、四角に延し直し、ごく薄い状態に持っていったら折りたたんで、切る。一連の作業が終わったとき、私はへとへとになっていた。それほど繊細で難しい作業なのだ。こうしてできた蕎麦を茹でてもらい、指導をしてくれた蕎麦打ちのプロの蕎麦と、自分が打った蕎麦を食べ比べた。
「どうです? ご自身で打った蕎麦の味は」
そう訊かれた私は即答した。
「うまくないですね。私は先生の蕎麦がいい」
不遜である。せっかく丁寧に指導してくださった方に対して、うまくないですね、は失礼だろう。でも、子供のころからの私の性格が滲み出ている。還暦過ぎて、困ったもんだ。
















