(44)戸隠の蕎麦打ち旅
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高原でも有名な1軒の蕎麦屋を訪れた。ご主人が薦めてくれた「閑雲野鶴」という佐久の地酒と天ぷらを味わう。酒はほかにも2種類くらい試したが、飲む間、期待に胸を膨らませるのは、やはり、蕎麦だ。蕎麦前と俗に言う。蕎麦をたぐる前に、適度なつまみで飲むこと、である。しかし私は、冷たい蕎麦であれ、温かい蕎麦であれ、蕎麦の時間になってからも、まるで蕎麦を酒肴とするようにして飲むのが好きなのだ。
蕎麦の香りと日本酒の香りは、実によく合う。蕎麦つゆも、温かい蕎麦の汁も、それだけを舐めたり啜ったりするだけで、立派な酒のつまみになる。
待ちに待った蕎麦は、素朴だが洗練された印象で、噛むと後から香りが立ち上ってきた。
東京からなら日帰りも十分に可能だが、できれば1泊したいところだ。冬場を除けばバスの便もある。うまい蕎麦を喰い、うまい酒を飲む旅は、自分自身のための慰安旅行だ。

















