多様性に富んだまちづくりと規制(上)日本の公園はなんでもダメ! 禁止が多すぎる
「あかりからのまちづくり」をはじめ全国各地で照明計画・まちづくりに携わっている東京都市大学の小林茂雄教授(工学博士)を直撃し、まちづくりと規制について聞いた。
──日本社会の規制のあり方についてどうお考えですか。
小林 まちに関するいろんな社会的事象についてコメントを求められます。たいていのものには良い面、悪い面とあって、またそれぞれに階層があります。例えば落書きの問題です。落書きは景観を乱すという面には気づきやすいんですけど、それ以上に落書きがあることによってまちの秩序を破壊していくという潜在的な危険があります。一方で、落書きがあることによって緊張が取れたり人々を楽しませたりとか、硬くなってしまっている雰囲気を緩める働きもあります。表現の場という側面もあります。そういった両面になかなか気づきにくいものです。
──面的に見すぎているわけでしょうか。
小林 人は分かりにくい事象を単純に考えて理解しがちです。ある一つの視点だけに立ってこれは規制すべきだとか、認めるべきとか。最終的な判断はするべきなんですけど、どういった要因が絡んでいるのか、それによって何が生まれ得るのか、ということをきちんと把握したうえで決定すべきではないかと思います。