藤井聡
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藤井聡京都大学大学院工学部研究科教授

1968年、奈良県生まれ。。ニューディール政策等についての安倍晋三政権内閣官房参与に2012年着任、10%消費税増税の深刻な問題を指摘しつつ2018年12月28日に辞職。著書に『経済レジリエンス宣言』(編著・日本評論社)『国民所得を80万円増やす経済政策──アベノミクスに対する5つの提案 』『「10%消費税」が日本経済を破壊する──今こそ真の「税と社会保障の一体改革」を』(いずれも晶文社)など多数。

<9>「延期」ではなく「デフレ脱却まで凍結」すべし!

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 萩生田光一自民党幹事長代行の発言以降、消費税増税が延期され、衆参同日選挙となるのではないか――いう憶測が、永田町やメディアで飛びかっている。

■1997年と2014年の増税で消費にブレーキ

 理性的に考えれば、デフレはまったく終わっておらず、しかも外需が冷え込み始めて景気が下落し始めている状況で、消費税をさらに引き上げるなど論外中の論外。文字通り、「10%消費税が日本経済を破壊する」わけであり、増税延期になるのではないか、という空気が流れ始めるのは、当たりまえとしか言いようがない。むしろ、そういう空気が流れないことこそが異常事態である。

 その点を踏まえると、今回の増税の「中止」の判断が単なる延期なのか、それとも、増税そのものを、デフレ脱却や海外の経済状況が回復するまで、「凍結」や「減税」すると言う話までいくのか―――が重要な焦点になる。

 そして日本経済の復活を考えるのならば、今回は単なる延期でなく、少なくとも「凍結」、そして、本来的には「減税」にまで踏み込むべきであることは明白なのだ。

 そもそも、安倍内閣は、2015年10月と17年4月の過去2回に渡って、消費増税を延期してきた。しかし、その延期後、消費は決して上向きはしなかった。(※画像のグラフを参照<消費増税自体が「リーマンショック」以上である)

 この背景にはもちろん、消費税の増税それ自体が、消費に大きなブレーキをかけていることが原因だ。事実、前述のグラフに示した通り、97年の5%への消費増税の前には「消費の伸び率」は年率3%弱の水準にあったものの、97年増税でそれが一気に3分の1程度にまで下落し、年率1%程度ずつの弱々しい消費拡大率になってしまった。そして、14年の8%への消費増税で、消費の伸び率はさらに下落し、0.8%程度に至ってしまったのだ。

■消費を活性化させる経済対策を

 そもそも消費税は消費の罰金として機能する以上、消費そのものが伸びなくなるのも当たり前だ。だからこそ10%増税など、論外中の論外なのだが、ただ単に増税を延期するだけでは、消費が活性化し、経済が上向いていくことなど、期待できないのである。

 したがって、今求められているのは5%への減税だ。そうすれば消費が再び活性化してくることになるだろう。

 かりに、官邸と財務省との力学関係などの「政治的な理由」で「減税」が難しかったとしても、最低限、「デフレ脱却までは凍結する」という「新しい判断」が必須となろう。

 それができれば、かりに税率が8%のまま据え置かれたとしても、消費者たちの先行きの不透明感が払拭され、消費の拡大が期待できることとなろう。そういう状況下で、さまざまな経済対策をあわせて実行することを通して、デフレ脱却が期待できることとなろう。

 もしもどうしても消費増税が必要だと言うのなら、デフレが完全に脱却できた後に考えればよいだけだ。そもそも安倍総理は、2012年の総裁選当時はそう主張していた。

 今日の経済状況は、2012年の時といまだデフレ状況という一点でなんら変わるものでもない。「デフレ脱却までの凍結」に向けた「新しい判断」を強く提案したい。

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